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[ソウル/東京 13日 ロイター] - 北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は13日、同国が長距離巡航ミサイルの発射実験を週末に実施し、成功したと伝えた。加藤勝信官房長官は事実であれば地域の平和と安全を脅かすと懸念を表明した。

KCNAによると、11日と12日に実施した実験では、ミサイルが1500キロ飛行して標的に命中し、同国の領海に落下した。

加藤官房長官は13日午前の会見で「1500キロを航行するミサイルの発射が事実とすれば、日本を取り巻く地域の平和と安全を脅かすものであり、日本としては懸念を有している」と語った。そのうえで「引き続き米国・韓国と緊密に連携しながら必要な情報収集、警戒監視を行っていく」と話した。

また、日本の排他的経済水域(EEZ)等に対して飛行、飛来があったということは「確認していない」とした。

北朝鮮のミサイル発射は3月の新型戦術誘導ミサイル実験以来とみられる。1月のバイデン米大統領就任の数時間後にも巡航ミサイル実験を行った。

米国との核・弾道ミサイル開発プログラム停止を巡る協議は2019年以降行き詰っているが、今回の実験は北朝鮮の兵器開発が着実に進展していることを示した。

朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、新型の長距離巡航ミサイルが飛行する写真や可動式装置から発射される写真を掲載した。

KCNAは、新型ミサイルが過去2年間に開発されたもので、1月に発表された5カ年防衛計画の基幹部分だと報道。「(ミサイル開発は)わが国の安全保障をより確実に保証し、敵対勢力の軍事演習を強力に封じ込めるためのさらなる効果的な抑止手段を保有するという戦略的な重要性」があるとした。

米カーネギー国際平和基金の上級研究員アンキット・パンダ氏は「北朝鮮の巡航ミサイルの中で明確に『戦略的な役割』が与えられたのはこれが初めてだ」と述べ、「核搭載可能なシステムを意味する、一般的な婉曲表現」であると指摘した。

北朝鮮が巡航ミサイルに搭載可能な小型弾頭を開発したかどうかは不明だが、金正恩労働党総書記は今年に入り弾頭の小型化が最重要目標だと表明している。

韓国軍は今回の実験を探知したかどうかは明らかにしていないが、米国と協力して詳細を分析しているとしている。

米インド太平洋軍は、北朝鮮のミサイル実験に関する報告を認識しており、同盟国や友好国と緊密に連携していると説明。「今回の行動は(北朝鮮が)軍事開発に引き続き注力し、それが近隣諸国や国際社会に与える脅威を浮き彫りにしている」との声明を発表した。

金正恩労働党総書記は実験に参加しなかったもようで、KCNAによると、党中央委員会政治局常務委員で書記の朴正天氏が立ち会った。

北朝鮮問題を巡っては、韓国外務省の魯圭悳(ノ・ギュドク)朝鮮半島平和交渉本部長、米国のソン・キム北朝鮮担当特使、船越健裕外務省アジア大洋州局長が14日、日本で核問題や3カ国の協力について意見交換する。

また、中国の王毅外相は14日にソウルを訪れ、韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相と会談する予定。