日本政府が「キャッシュレス推進」しながらも「新紙幣を発行」するワケ
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キャッシュレス化であっても国のデジタル通貨以外の仮想通貨は寧ろマネロンに使用されている。また通貨の供給量も国で管理できなくなることからもそうならない為にも中央銀行のデジタル通貨が導入するというインセンティブが働いてくる考えられます。つまり仮想通貨VSデジタル通貨という構図。
キャッシュレス化が進行しても、現金流通を止めるわけではない以上、偽造防止技術を最新のものにアップデートしていく取り組みは必要であり、一定の周期毎に新券に切り替えるのは当然と思います。また、キャッシュレス化がより進んだ他国でも、同様の対応を行っています。
この中で、海外で最近注目されている論点は、「旧券の流通を止めるかどうか」です。日本は常に旧券も有効ですが、海外ではインド、英国、スウェーデン等、旧券の流通を止める国が目立ってきています。(決して無効にする訳ではなく、新券への交換か預金化を求める訳ですが。もちろん、地下経済への対策という趣旨もあるわけです。)
「偽造防止」という観点からは、旧券の流通をそのままにしていることは偽造リスクを高めるので、「止めるべき」との考え方はあり得ます。また、昨今の世界的なマネロン規制強化の方向も、その方向を後押しする可能性があります。日本ではこの議論はなかなか難しい問題を抱えているのですが、国際的な議論の動向にも注目していく必要があると思います。キャッシュレスと新紙幣発行に矛盾がないのは、本文中にあるタンス預金対策がメインではなく、自販機など紙幣を介する事業者に対して、早くキャッシュレス化をしないと新紙幣対応のコストがかかりますよ、という警告という側面の方が大きいです。しかしながら、東京オリンピックを新紙幣化の前段でキャッシュレス化進展の大きなきっかけにしたかっただけに、日本政府のその目論見は狂ってしまったと言えます。
政府は早ければ2040年には紙幣を全廃したいと考えていて(早い国として、デンマークあたりでは2030年の紙幣全廃を計画しています)、今回の新紙幣を最後の紙幣デザインにしたいと目論んでいることが、一万円札のデザインを渋沢栄一にしたことからも分かります。渋沢栄一は、日本の銀行を始めて作った人で、いわば近代現金経済の権化とも言える存在なのです。新一万円札の渋沢栄一には、そんな彼に現金経済の幕引きをしてもらおうという日本政府の想いが込められていると、私は思っています。ちょっと粋な話だとは思いませんか。