ロシア、ノルドストリーム2完成を発表 各国反発のガス管
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ドイツは自国ではエネルギーを自給できない、というのはドイツの伝統的な弱点です。石炭だけは採れますが。ドイツは、世界最大の天然ガス輸入国です。その半分以上はロシアからの輸入です。
冷戦の終焉は、ドイツがロシアから石油、天然ガスを従来以上に輸入することを可能にしました。ドイツは冷戦時代の1970年代から輸入していました。オイル・ショックで原油価格が高騰してから、ドイツはより安価なエネルギー資源を求めましたが、それはソ連・ロシアにしか見出せませんでした。
国際政治的な要因さえなければ、ドイツの経済はロシアと緊密な関係になった方が利益が大きい、というのも伝統的なドイツのジレンマです。2011年にノルドストリーム1が完成したことで、ドイツの天然ガス輸入のロシアへの依存は高まりました。
ドイツにしてみれば、ロシアからのエネルギー資源輸入は、50年越しの事業であり、メルケル首相の与党の関係者も多数関わっています。米国に横槍を入れられたからといって、取り止めることはむずかしいです。
注目のコメント
米国やウクライナがなんと言おうと、ロシアとドイツの政治経済的な利害が噛み合っていますから、完成するしかなかったプロジェクトです。
ウクライナとロシアの関係は複雑でして、歴史的経緯を踏まえた場合、ウクライナこそ責められるべき面もあります。この件でウクライナが色々言うのは筋違いでしょう(なら、ウクライナ経由のパイプラインによる輸送で得られた利得相応の費用を、本来ならウクライナが負担すべきと、ロシアは言うでしょう)。
ドイツの文脈に切り替えると、このプロジェクトで得られる天然ガスは脱炭素化戦略の実現に不可欠です。しかし緑の党は、イデオロギー的な理由からこの計画の凍結を公約に掲げており、こうした些か不誠実かつ無責任なスタンスが、その失速に繋がった側面が否めません。批判したりズルイと言ったりすることはいくらでも出来ますが、現実的にどう対抗していくかが大事です。
このようなパワーバランスについて、世界各国の打ち手をよーく観察することは、自分自身の交渉力の向上にも通じてきます。