2021/9/17

【核心】ひたすら「赤字を掘る」ことは、健全ではない

コンサルタント(元NewsPicks記者)
この10年間で、日本におけるスタートアップの位置付けは大きく変わった。
それまでは、どこか学生起業の延長として捉えられてきたが、経営陣にビジネスのプロたちが集うようになり、時価総額で1000億円を超える企業が続出している。
今やスタートアップでは、マーケティングや人事など、様々なプロフェッショナルがスタートアップで活躍しているが、中でも最も需要が高いのがCFOだろう。
CFOの仕事は、資金の調達や配分、投資家とのコミュニケーションなど多岐にわたり、企業価値の番人としてタクトを振るうこと。
調達先や時期の選定、事業への投資配分は企業の未来に直結するため、スタートアップの成長において重大な役割を担っている。
そんな中、スタートアップのCFOの中で一目置かれる人物がいる。ラクスルの永見世央氏だ。
永見氏がラクスルに入社したのは、2014年。翌年には約40億円の資金調達を実施し、財務面からラクスルを成長に導いてきた。
2018年にはマザーズ上場、翌19年には東証一部上場を果たした今でも、新規事業を立ち上げて積極的に投資を続けている。
この急成長の背景には、どんな財務戦略があったのか。スタートアップのCFOには、どのような役割が求められるのか。
永見氏へのインタビューをお届けする。

変わる「CFOの役割」

──CFOはお金を管理する「企業の金庫番」から、より戦略的に調達や投資を判断する役割に変わりつつあります。
永見 CFOという肩書自体は、昔からありました。
でも日本で、アメリカの企業のように本当の意味でのCFOの役割を担う人が出てきたのは、直近5~10年のこと。そのあたりから徐々に、CFOの役割が変わってきました。
背景にある要因は、大きく3つ。