[東京 10日 ロイター] - トヨタ自動車は10日、東南アジアでの新型コロナウイルス感染拡大などに伴う部品供給不足により、9月と10月を合わせた世界生産を8月時点の計画から約40万台さらに減らすと発表した。2022年3月期通期の世界生産計画も従来の930万台から900万台へ下方修正した。

同社は感染拡大による部品供給遅れや世界的な半導体不足から、9月の世界生産を36万台減産すると8月19日に発表していたが、さらに約7万台(海外4万台、国内3万台)減らす。事態は想定以上に悪化しており、10月も含めて追加の減産を余儀なくされた。

10月の世界生産も、8月時点の計画では約88万台を予定していたが、約33万台(海外18万台、国内15万台)減らし、55万台と4割ほど引き下げる。

熊倉和生・調達本部長はオンラインで取材に応じ、マレーシアやベトナムでの感染拡大が収まらず、各国の外出規制の長期化で「現地仕入れ先の出勤率、稼働率が上がらない状況が続いている」と説明。「規制で自宅に戻ると再出勤できなくなっており、供給を継続するため工場に泊まり込んで生産を続けてもらっている状況」と述べた。

トヨタは綿密なBCP(事業継続計画)を策定して影響最小化に努めてきたが、熊倉氏は「在庫や代替生産に必要な型・軸の取り出しが難しいケースも出てきている。これまで進めてきたBCP活動も規制で機能しづらい状況」に陥っており、他地域での代替生産や代替品の検討を進めているものの「全量がカバーできなくなっている」と話した。

半導体も需給逼迫が続いている。熊倉氏は「在庫も枯渇傾向になっており、代替生産をしようにも、想定していた代替拠点に余剰能力がないというケースもあり、供給の穴埋めに一部限界が出てきている」と語った。

ただ、通期予想の営業利益(2兆5000億円)、売上高(30兆円)は変更しない。同席した近健太取締役は「マイナスの影響はある」ものの、販売費などの固定費が抑制できているほか、為替相場が円安傾向にあることから「修正する状況ではない」と述べた。