2021/9/11

【考察】9.11テロから20年。世界はどこへ向かうのか

上智大学 総合グローバル学部教授(現代アメリカ政治外交)
2001年9月11日にアメリカで起きた同時多発テロから、20年が過ぎた。
前代未聞の攻撃により約3000人が亡くなったアメリカは大パニックに陥り、その後、報復の戦争に突入していった。
思えばこの20年で、世界は激変した。
アメリカが泥沼の対テロ戦争に明け暮れる中、中国は猛烈な勢いで力をつけた。今、アメリカの相対的なパワーは急速に後退しつつある。
テロ後の20年間で世界はいかにして変わり、これから先の秩序はいったい誰が担っていくのか。
テロ発生時には首都ワシントンに滞在し、アメリカ政治を専門に研究する前嶋和弘 上智大学教授のディープな考察をお届けしよう。
INDEX
  • 秋晴れの日に起きた「悪夢」
  • 「ネオコン」という思想
  • 「世界の警察官」の限界
  • 「チェンジ」。オバマの時代へ
  • バイデンの「世論を見る」外交
  • 新たな段階に入る「新冷戦」

秋晴れの日に起きた「悪夢」

2001年9月11日、私は当時住んでいた首都ワシントンの郊外で、いつもどおりの朝を迎えた。透き通るような秋晴れのこの日、後の世界を変える凄惨なテロ事件が次々とアメリカを襲うことになる。