[ドバイ/シンガポール 6日 ロイター] - サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコは、10月分のアジア向け原油公式販売価格(OSP)を9月分から大幅に引き下げた。北西欧州および米国向けは据え置いた。

アジアでは、新型コロナウイルスの感染力の強いデルタ型変異株が猛威を振るい各国がロックダウン(都市封鎖)を実施、燃料需要が抑制されている。一方、供給は、石油輸出国機構(OPEC)と主要産油国で構成するOPECプラスの減産縮小で、世界的に拡大している。

アラムコは、主要油種アラブ・ライト原油の10月分OSP(1バレル当たり)を、アジア向けについてはオマーン・ドバイ原油の平均価格プラス1.70ドルに設定。9月はプラス3ドルで、2020年2月以降で最大の上乗せ幅だった。

アジア向けの値下げは4カ月ぶりで、9月からの引き下げ幅(1.30ドル)はここ1年で最大。需要家は、ドバイ原油の相場動向を踏まえ、0.2─0.4ドルの引き下げを予想していた。

アジアの石油トレーダーは、大幅な価格引き下げでサウジ産原油への需要が高まると予想。「それがサウジの狙いだ」と、トレーダーの一人は指摘した。

ただし、サウジが他の産油国と新たな価格戦争を繰り広げる可能性は低いとトレーダーやアナリストはみている。

10月分の北西欧州向けOSPは、ICEブレントを1.70ドル下回る水準に、米国向けはアーガス・サワー・クルード・インデックス(ASCI)を1.35ドル上回る水準にそれぞれ据え置いた。