2021/9/10
【会社を買う】実践者がホンネで語る「個人M&A」の真実
「ライフ・リセット特集」最終回では、少々チャレンジングな提言を行ってみたい。
近年、「会社を買う」というムーブメントが、ビジネスパーソンの間でも話題になっている。
背景にあるのは、国内で深刻化する中小企業の後継者不在問題と、経営者の高齢化。その結果、廃業に追い込まれる企業は右肩上がりで増えている。この状況に、コロナ禍が追い打ちをかけていることは、言うまでもない。
こうした流れを受けて、「スモールM&A」と呼ばれる小規模の事業合併・買収が注目を浴びている。スモールM&Aとは、一般的には買収金額が1億円未満の案件を指すことが多い。さらに、買収金額1000万円未満をマイクロM&Aと称する場合もある。
この市場に、個人が参加するケースが増えているのだ。
「近年は、『バトンズ』『トランビ』といった売り手と買い手をつなぐポータルサイトや、スモールM&Aに特化した手数料の安価な仲介サポートなども増えつつあり、個人の買い手には入りやすい状況になっています」と解説するのは、事業継承デザイナーの奥村聡氏。
といっても、「会社を買って儲けよう」という動機がメインで参加する人は、最初から入り口を間違えている──と、奥村氏は釘を刺す。
「個人にも手が届きやすい、数百万円程度で買える企業の多くは赤字企業であり、黒字化するには相当な経営努力が必要です。利回りを求めるのであれば、投資信託などを買ったほうが、はるかに確実でしょう。
大家ビジネスなどと比べても、会社を買うのはリスキーな選択と言わざるをえません」
しかし──と奥村氏は付け加える。「他では得られない『自己成長』や『人生経験』を買うのであれば、悪くない投資だと思います」
以下、実例をもとに「個人M&Aの本当のところ」を見ていこう。
INDEX
- 【実録】潰れかけの食品工場を買収
- 人生の「鉄板ネタ」を手に入れる
- 「どこまでコミットできるか」がカギ
- 6台の冷蔵庫を1台にして経費削減
- 「お安く買える」2つのパターン
- 「手堅さ」を求めたら負け