実用化が進む世界のワクチンパスポート ブロックチェーンの活用と現状
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実際のところワクチンパスポートの国際的な枠組みとして現在稼働している最も大きなものであるEUのデジタルCOVID証明書(DCC)はブロックチェーンを使わず実現されている。この代表的な事例のアーキテクチャを参照せずに少数のブロックチェーンの適用事例を引用するだけでは技術紹介の記事としてはあまり誠実とは言えないだろう。
DCCの参加国はそれぞれ国や州の単位でワクチン接種情報を管理するシステムを持っている。この場合ワクチンパスポートに必要なのは電子的に提示した接種情報がそれらの公的な接種管理システム上のそれと相違ない事を証明する手段であり、この用途であれば既存の電子署名で十分で、事実DCCもそういう仕組みになっている。
日本ではCOVIDワクチンの接種情報を自治体管理ではなくVRSを用いて国レベルで集約している。これは接種証明書の発行を見越していたためという報道もある。何れにしてもDCCの参加国と同様に国レベルの接種情報管理システムを持つ日本において、ワクチンパスポートはブロックチェーンのユースケースとしてはやはり弱いと考える。