独、カブールで外交活動再開も 女性の権利尊重など条件に
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「外交活動再開」というのは、ドイツがターリバーン政権を承認するということになりますが、これは、ターリバーン側も切望していることです。貿易ができないと経済がもたないし、援助や借款も、無いと行政らしいことができません。
ドイツがターリバーン政権を承認すれば、カタールとトルコも積極的にターリバーン政権との関係構築を進めるでしょう。
ドイツとしては、「アフガニスタンをテロの根拠地としないためには関係の遮断よりも積極的に関与するべき」という大義名分がありますが、それ以上に、難民のヨーロッパへの流出を止めるには、アフガニスタンの経済を安定させるのが効果的、という事情があるでしょう。
ドイツ側が提示している条件は、
① ドイツの大使館とそのスタッフの安全確保
② 包括的な政権
③ 女性や少数派の人権の尊重
④ アフガニスタンが再び国際テロリズムの根拠地とならないこと
です。
②と③は関係していて、まもなく発表されるターリバーン政権の指導部に、ターリバーン以外の勢力、特にシーア派のハザラ人などが参加する、というのが1つの基準になります。
ターリバーンとしては、他勢力も政権に組み込む意向は明確に持っていますが、ドイツの条件としては、最大民族のパシュトゥーン人だけではだめで、タジク人やウズベク人、そして特にハザラ人や、女性の閣僚が入っている、というのが判断の基準になるでしょう。
もちろん、閣僚の顔ぶれだけでは女性や少数派の人権状態が改善されたとはいえないので、教育機関であるとか、公務員の構成なども判断基準でしょう。タリバン政権が20年前に5年で崩壊した理由の1つに外交的な孤立がありました。当時のタリバン政権を(非公式はともかく)正式に承認していた国は僅か数か国と言われています。20年前にはイスラム教主体の国家の中でさえ承認されていない事例があったという点は、20年前のタリバン政権崩壊に大きく影響しています。
承認国家が少ないと外交的な情報も入って来なければ、外国からの協力も得られません。外貨を得る手段も貿易手段も限られれば、人材発掘も限られます。
最近の声明を思えば、タリバン政権で人材獲得が充分にできるわけでも無ければ、それだけの人材育成が直ぐに出来る訳でも恐らくありませんが、20年前と違うのはそうした人材の必要性を理解している面にあります。
どんな非民主的政権も独裁国家も、他国から信任されている状況があるからこそ長続きします。
そしてこの申し出の持つ強みは他にもあります。イスラム教でない国と1つ繋がりが出来ることで、殺害以外に国外追放という手段が出てきます。国外追放は色々な国が使う手法なだけに、その国の在り方を守る中で使える手段ではあります。タリバン政権はこの20年でこのことを学んだかが問われています。