[ワシントン 30日 ロイター] - 米軍は30日、アフガニスタンからの撤収が完了したと発表した。これにより、2001年の同時多発攻撃をきっかけに始まった約20年に及ぶ米史上最長の戦争が終結した。

最後の米軍輸送機が首都カブールの空港を離陸したことを受け、マッケンジー米中央軍司令官がワシントンの国防総省で記者会見を行い、撤収完了を発表した。

中東の衛生テレビ、アルジャジーラが30日伝えたところによると、イスラム主義組織タリバンの報道官は、最後の米兵がカブール空港から撤収し、アフガニスタンは完全な独立を手に入れたと表明した。

バイデン米大統領は撤退完了後に出した声明で「20年間にわたるアフガンでの駐留が終了した」とし、危険を伴う退避活動に携わった米軍に謝意を示した。

また、国際社会はアフガン出国を望む人々の安全な移動を認めるという確約をタリバンに守らせると表明した。

米軍撤退について、31日午後に国民に向けて演説する方針も明らかにした。

ブリンケン米国務長官は30日、出国を希望している100人以上の米国人が依然アフガンに残されているようだとし、正確な数の把握に努めていると説明した。

<共和党議員は「国辱」と批判>

バイデン氏は31日を米軍の撤退期限としていた。タリバンによるカブール制圧以降のアフガン情勢への対応を巡り、バイデン氏は与野党双方から厳しい批判を浴びている。

共和党のベン・サス上院議員は米軍撤退は「国辱」で、バイデン大統領の「臆病と無能さの結果」だと批判。「大統領は米国人を置き去りにするという道義的に許されない決定を行った。自ら名誉を傷つけた」と強調した。

一方、民主党のシェルダン・ホワイトハウス上院議員はツイッターに「米国の外交官、軍、情報機関に拍手喝采を送る。これほど危険で混乱した状況下での12万人の移送は他の誰にもできなかったはずだ」と投稿した。

米国や北大西洋条約機構(NATO)同盟国は、タリバンが想定を超える速さで実権を握ったことを受けて撤退加速を強いられた。現地には西側諸国に協力してきた数千人のアフガン人が残されている。

マッケンジー司令官は、カブールを深夜に出発した最後の米軍輸送機にはウィルソン米臨時代理大使が搭乗したと明らかにした上で、「米軍兵士全員がアフガンから撤収した。これは100%確実だ」と強調。

「この撤退は多くの悲痛を伴った。退避させたかった全員の出国はできなかった。だが、あと10日駐留したとしても全員は退避させられなかっただろう」と述べた。

ブリンケン氏は、タリバンが国内の反対勢力に報復しない限り、タリバン新政権と協力する用意があると表明。「タリバンは国際的な認知と支持を求めている。いかなる認知と支持も努力して得る必要があるというのが米国の立場だ」と語った。

<今後の関与は不透明>

タリバンは今月15日にカブールを制圧。米国は14日以降、12万2000人を超える人をアフガニスタンから退避させた。

米国や西側同盟国は自国民のほか、現地の通訳や大使館職員、人権活動家、ジャーナリストなどの退避を急いだ。

米兵13人や多数のアフガン人が死亡し、過激派組織「イスラム国」(IS)系勢力が犯行声明を出した先週の自爆攻撃を受け、退避活動の危険は一層高まった。

米国はISに攻撃の代償を払わせるとしているほか、アフガンが過激派の温床になるのを防ぎたい考えであることから、今回の撤退完了がアフガンへの軍事的関与の終わりになるかどうかは不透明だ。