2021/9/5

【亀山×南壮一郎】雇用が変わる。その準備はできているか?

DMM.com 取り仕切り役 会長
DMM.comの亀山敬司会長がホストを務める「亀っちの部屋」Season2。
今回は、転職サービス「ビズリーチ」の創業者で、ビジョナルCEOの南壮一郎氏をゲストに迎える。
南氏は新卒でモルガン・スタンレーに入社。その後、プロ野球・楽天イーグルスの立ち上げに携わったのちにビズリーチを起業。ジャンルにとらわれず、さまざまな業種に挑戦してきたキャリアを持つ。
2020年、ビズリーチは「ビジョナル」の名でグループ体制に移行。ビズリーチの代表を後進に譲り、自身はグループの代表に就任した。対談では、ビジネスのヒントを得た経験や、雇用や人材市場に対する思いが存分に語られた。
*音声はこちらからお聞きください
INDEX
  • 子ども時代のマイノリティ体験
  • 2021年春、ひっそりと上場
  • ビズリーチのヒントはFA制度
  • 人材市場の規模は10年で3倍に
  • 年功序列・終身雇用、実はアメリカ発
  • 日本の生産性向上が求められる理由

子ども時代のマイノリティ体験

──今回のゲストは、ビジョナルCEOの南壮一郎さんです。
亀山 俺、君のことをずっと「スイミー」って呼んでるけど、そもそもなんでスイミーなんだっけ?
 6歳から13歳まで、父親の仕事の関係でカナダに住んでいたんです。通っていた現地の小学校のクラスには、日本人どころかアジア人は僕だけ。肌の色も違うし初めは英語もしゃべれないので、絵に描いたようなマイノリティでした。
そんな僕を勇気づけるために、担任の先生がレオ・レオニの『スイミー』という絵本を渡してくれたんです。
写真:i-Stock/SDI Productions
物語の主人公は、赤い魚たちに交じって、一匹だけ真っ黒な色をしているスイミーという名の魚。
あるとき、赤い魚たちは大きなマグロに食べられてしまい、泳ぎの得意なスイミーだけが逃げ出すことができました。ひとりで海の中を泳いでいると、岩の影に怯えて隠れている赤い魚たちを見つけます。
一緒に泳ごうと声をかけるのですが、大きい魚に食べられてしまうことを恐れて拒まれてしまいます。そこで、スイミーは、みんなで体を寄せ合い大きな魚のフリをして、体の黒いスイミーが、その「目」になることを提案します。
それにより、大きな魚を追い払うことができました。
特徴や個性が違っても、それぞれに役割があると教えてくれるストーリーです。
亀山 その絵本、俺も読んだわ。
 当時は80年代前半で、まだ日本企業の海外進出が珍しかったなか、当時の日本のメーカーの皆さんの知恵で、ファーストネームのイニシャルを使って英語の名前をつける慣習がありました。
僕なら壮一郎だからSなんですが、家族で名前をつけようという話になったとき、気に入っていた絵本から自分でスイミーと命名したんです。
中学生で一度帰国したあと、大学はアメリカに行ったんですが、そのときにスイミーをミドルネームにして「Soichiro・Swimmy・Minami」と住民登録しました。
だからスイミーは卒業証書にもクレジットカードにも書いてある、ニックネームというよりもオフィシャルな名前なんですよ。
亀山 なるほど。マイノリティだった体験が原点になってるんだね。

2021年春、ひっそりと上場

──南さんは2009年にビズリーチを創業。10年が経過した2020年2月にビズリーチの代表を後進に譲り、現在はビジョナルCEOとして新規事業の立ち上げに取り組んでいます。