2021/8/31
SPACブームの虚飾を暴いて稼ぐ「正義の空売り屋」の素顔
INDEX
- 社員5名の「ジャイアントキラー」
- 不正を嗅ぎつける「金融探偵」
- 趣味の「ネズミ講潰し」が本業に
- SPACブームの陰に詐欺会社あり
- ヒンデンブルクの「世直し」は続く
社員5名の「ジャイアントキラー」
7月末、米司法当局は2020年夏に上場した電気自動車メーカー、ニコラの創業者を、投資家に対する詐欺罪で起訴した。
今回の起訴に至った理由のひとつは、ネイサン・アンダーソンという無名の投資家による分析だった。
株式のリサーチャーで投資家でもあるアンダーソンと、彼が率いる投資会社ヒンデンブルク・リサーチがいま、注目を集めている。
ヒンデンブルクは6月に発表したレポートで、スポーツ賭博会社のドラフトキングスが闇賭博に関与している可能性があると指摘。8月初めに米証券取引委員会(SEC)はドラフトキングスに召喚状を送った。
また、3月のレポートでは、ローズタウン・モーターズが電気ピックアップトラックの予約台数や生産能力を誇張した疑いがあると指摘。その結果、同社の株価は70%近く下落した。連邦当局はローズタウン側の反論について調査している。
1937年に着陸時の事故で爆発したドイツの飛行船から名前を取ったヒンデンブルク・リサーチは、金融の世界では新参者だ。
2017年に設立され、社員は5名。上場企業に関する詳細なレポートを発行して、企業の発表の問題点をあぶり出し、不正疑惑を投資家に警告する。特別目的買収会社(SPAC)のブームは、ヒンデンブルクに格好の材料を提供している。
とはいえ、公共サービスの類いではない。複数の投資家の支援を受けているヒンデンブルクは、アンダーソンが狙いを定めた企業の株価がレポートの発表後に下落することに「賭けて」いる。株価が下がれば、ヒンデンブルクは「ショート」と呼ばれる取引で利益を得るのだ。
「彼は本物のジャイアントキラーになった」と、元デリバティブ・トレーダーで、現在はカリフォルニア大学バークレー校法学部教授のフランク・パートノイは言う。「大企業をターゲットにしているときさえ、恐れ知らずに見える」
不正を嗅ぎつける「金融探偵」
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