[ウェリントン 30日 ロイター] - ニュージーランド保健省は30日、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスワクチン「コミナティ」を接種した女性1人が死亡したと発表した。ファイザーのワクチン接種に関連した死亡例は同国で初めてという。

同省によると、ワクチンの安全性を監視する独立委員会は、死因が心筋炎だったと判断。ファイザー製ワクチンは接種後まれに心筋炎が発症するケースが報告されている。心筋炎は心臓の筋肉組織に炎症が起きる疾患で、血液を送り出す心臓機能や心拍リズムに影響を与える恐れがある。

同省は「接種後の数日間にファイザーのコロナワクチンに関連して死亡した例としてはニュージーランドで初めてだ」とした。女性の年齢は明らかにしていない。

ファイザーは、接種後にまれに心筋炎が報告される可能性を認識しているが、こうした副作用は極めてまれだとコメント。

ロイターに対し「ファイザーは、当初のワクチンと潜在的に関連がある有害事象を非常に深刻に受け止めている」とし「こうした事象をすべて注意深く監視し、関連情報を収集し、各国の規制当局と共有する」と述べた。

同省によると、この死亡例は検視官に回されたが、死因はまだ確定していないという。

しかし、独立委は心筋炎がおそらくワクチン接種によって引き起こされたと考えており、心筋炎以外の医学的問題も同時に起きていたことに言及し、これが接種後の経過に影響を与えた可能性があるとした。

その上で「ファイザーのワクチンは、コロナ感染リスクと心筋炎を含む副反応リスクよりも接種する利点の方が引き続きはるかに大きい」とした。

ニュージーランドではこれまでにファイザー/ビオンテックのほか、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)傘下ヤンセン、アストラゼネカのワクチンが条件付きで承認されているが、一般向けに展開されているのはファイザー/ビオンテック製のみ。

同国では最近まで約半年近く市中感染者が確認されていなかったが、変異ウイルスのデルタ株への感染が広がり、当局は対応に追われている。

30日には新たに53人の感染者が報告された。今回の感染拡大局面での累計感染者は562人となった。