【解説】日本にも超重要。アメリカの「テーパリング」を知る
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テーパリングについて、重要なポイントは2つ。
① テーパリングは金融引き締めではないこと
② テーパリング終了後も、巨額のFRBのバランスシートは長期間維持されること
①については、FRBは現在も毎月1200億ドルもの債券を購入して金融緩和を毎月強めているわけだが、テーパリングとは、これを少しずつ減らしていくこと。ただ、減らすと言っても、その間は引き続き債券購入を継続するので、FRBのバランスシートは拡大していく。バスタブに水を入れている状況を想定すればいい。バンバン出していた蛇口を少し絞るのだ。水の勢いは弱まるが、それでもバスタブの水は増えている。これがテーパリング。
② テーパリングが終了すると、FRBのバランスシートの拡大は止まる。しかし、減るわけではない。減るのは購入した債券が満期になり償還される場合だが、前回の2014年のケースでは、FRBは償還された債券については再投資を行う、かなり長い間バランスシートを維持した。
ちなみに、2014年1月にFRBがテーパリングを開始した時のFRBのバランスシートは、約4兆ドルだった。テーパリングが完了したのは2014年10月。そして、FRBのバランスシートが4兆ドルを割り込んでいくのは2019年であり、約5年くらいの時間を要している。
つまり、超カネ余りの状況は、今後もかなり長い間継続するというのが、メインシナリオとなる。また利上げもどこかの時点で開始されるが、利上げがスタートしてもFRBの巨額のバランスシートは残っており、利上げの引き締め効果を、相当程度吸収してしまう可能性が高い。
そんなことしている間に、また次の何らかの危機が起こり、FRBは金融緩和に逆戻り。FRBのバランスシートは再び拡大・・・これが、これまでの金融の歴史。テーパリングの検討を始めたFRBのバランスシートのサイズはGDPの40%、出口の素振りも見せない日銀は135%です。財政支出が足りないと批判されることの多い政府ですが、GDP対比の政府の借金も、米国の118%に対し日本は256%(いずれも2020年末)と突出しています。
直近の1週間の人口10万人あたりの新規陽性者数が325人、死者数が2.5人という状況下でワクチン接種の効果と病床確保を頼りに経済規模をコロナ禍前に戻した米国と、厚労相が東京都で500人(人口10万人あたり25人)以下にならないと緊急事態宣言を解除できないと極端な数字を主張して封鎖を続けるわが日本。ちなみに東京都の人口10万人あたりの死者数も現時点で米国より圧倒的に少ない0.6人です。
長期に亙る日本の停滞の原因が金融緩和と財政支出の不足でないことは、こうした事実からも見えて来る(・・;アメリカの金融情勢は世界中に影響を与えます。日本でも日銀以上の影響力があるぐらいです。アメリカの動向は絶えず知っておかないといけないと思いますね。これは政治・経済全てに言えることです。