朝起きられない君へ
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こういう症状が病名として分かるまで、大変なご苦労があったのではと思います。勉強になりました。
コロナ禍で子供達は夏休みもプール教室がなくなってしまったり、普段であれば色々なサマーイベントもあり運動できるチャンスもありますが、全般的に減ってしまっているのではと思います。
新学期が始まっていますが、子供たちの運動量やコロナ禍で無意識に感じているであろうストレス、環境的な変化、色々なものに敏感になりすぎても良くないですが、何か不調があった場合には相談するという選択肢を持つ必要がありますね。本校では起立性調節障害の診断をもつ子が、年に1〜2名は入学してきます。
1学年の入学者数は30名程度ですので、割合としては5%くらいでしょうか。記事の有病率は、現場感からしても納得です。
そもそも、本校は「夜間」の定時制ですから、起立性調節障害の子どもや保護者は、体調が良い時間帯に学べる良い環境だと捉えてくださります。そのため、優先的に選んでいただけている感覚があります。現に入学後に障害が要因での不適応が出ることはほとんどありませんし、卒業時には朝勤務の会社に就職していくこともあります。
このような状況を見てきた私個人としては、起立性調節障害は自身の特性を周囲の人間も含めて理解し、環境が整えば力を遺憾なく発揮できるものだという認識です。つまり、障害の社会モデルでも言われているとおり、「周囲の環境」がいかに重要かということが分かるのではないでしょうか。定時制には、起立性調節障害の生徒が毎年入学をし、私自身も何人も担任を持ったことがあります。
小児科臨床ピクシスの「起立性調節障害」で詳しく解説がしてあり、大変参考になります。
サブタイプがいくつかあり、実態は生徒によって様々であることも特徴です。
起床時、身体を起こそうとすると血圧が下がり、頭痛なども併発して起きられず、朝起きられないことが原因となって夜眠れなくなり、体内時計が狂ってしまう上に運動量も低下し、更に朝起きれなくなる、という悪循環により睡眠障害に至る流れは共通していることが多いようです。
睡眠障害部分の治療に関しては、
・つらくても日中の臥床を避ける
・運動療法を行う
・テレビ、ゲーム、パソコン等の制限を行う
・高照度光療法(2500から10000ルクスの暴露が得られる光を用いて2時間程度の光照射を行う)
・メラトニンの服薬
・ビタミンB12の服薬(効果は一定しない)
・入院で生活リズムの改善を図る
というような治療で改善する例も多いそうですが、起立性調節障害自体はなかなか改善の傾向が見られないまま卒業もしくは退学する生徒がほとんどです。
生活リズムの乱れやすさや、長時間の立ち仕事の困難さなどの症状の特徴から、進学、就職をする際に大きな困難を抱えてしまう上、起立性調節障害は障害者手帳の申請ができる障害ではありません。
勧められる進路先が通信制の大学くらいしか見当たらないのが現状です。
個人的には、障害者雇用の対象とすべきなのでは、と思うほど、通常の意味での社会適応が難しいように感じています。
遺伝、体質に加えてストレスが加わって悪化する心身症であることからか、性格的には非常に真面目な方が多いというのもこの病気の特徴です。
また、定時制ではない学校組織では、理解が得られないものでもあり、「気持ちの問題」というような心ない言葉に傷ついた生徒も多くいます。
成績的には非常に優秀な生徒であることも多く、その能力を生かせないことは損失でもあります。学校、社会の側に変革が求められる案件だと感じています。