2021/8/28

【巨大市場】ピボットの達人が狙う、モンストの次の「大勝負」

NewsPicks Buisiness Growth Division
NewsPicks編集部による番組『デューデリだん!』は、NewsPicksの記者たちが、注目の成長企業を取材し、経営トップにインタビューする過程を可視化する企画です。

今夜10時から取り上げる企業はミクシィ。かつて日本発SNSとして全国で流行したmixiや、近年ではスマホゲーム「モンスターストライク」を大ヒットさせてきた同社。現在は、意外にもスポーツ事業に注力しているといいます。“社長肝煎り”で取り組む、スポーツベッティングとは?
INDEX
  • モンストから「スポーツ」へ
  • HUBとの提携が「布石」
  • スポーツで「ギャンブル」を
  • 世界的な盛り上がり
  • ミクシィは「法律」を変えるのか?

モンストから「スポーツ」へ

今回は、SNS領域をカバーしている岡記者と、ミクシィへ取材経験のある谷口記者、そしてお馴染み、インターン(役)で本業は役者の藤村聖子さんの3人で、ミクシィがスポーツ事業に注力する理由を探ります。
ミクシィといえば、2000年代後半に流行したSNSを思い出す人が多いのではないでしょうか。しかし、現在は?
「今は、ゲームで稼いでいるんですよね」
藤村「私、ちょっと業績チラ見してきました」
これまで番組では、伸び盛りの企業を取り上げてきましたが、最近、それらの企業を凌駕する勢いで成長する藤村さん。今回は、決算短信を自分なりに読み込んでいました。
ミクシィの業績を振り返ると、2013年にモンスターストライクの大ヒットにより黒字転換。以降、スマホゲームが売り上げの大半を占めてきました。
そうした中、2021年3月期はスポーツ事業が急成長。さらに、今年度の業績予想では、スポーツ事業の売上高を前年比の約2倍となる250億円としています。
スマホゲームを縮小させ、スポーツ事業に充てているようにも見えます。ミクシィは、スポーツで何をしようとしているのでしょうか。

HUBとの提携が「布石」

谷口「今年、ミクシィがハブに出資したんですよね」
ミクシィは今年3月、英国風パブ「HUB」を運営するハブに20%(総額15億5000万円)の出資を行い、持分法適用会社化。業務提携契約を締結しました。
しかし、ハブの業績はコロナ禍で急減しています。
藤村「2社の関連性が全然わからないですね」
なぜミクシィが、ハブに出資したのか?
今年5月に行ったNewsPicksによるインタビューで、木村弘毅社長は次のように語っています。
木村社長(ミクシィは)多くの生活者に、豊かなコミュニケーションの機会や空間を、IT企業の技術を使って提供しています。ただ、その手段はオンラインもオフラインも問いません。

そうした中で、飲食業界で、多くの人を集めて、ワッと盛り上がる場の提供をしているハブさんと意気投合しました」
木村社長「全国100店舗以上あるHUBも含めて、スポーツベッティング(スポーツを対象にした賭け事)ができるカルチャー醸成をする。HUBとの提携では、ここに期待しています」
木村社長は、ハブの提供する「場」の価値が、ミクシィとのシナジーを生むといいます。
しかし、ここで強調されているスポーツベッティングとは、どのようなものなのでしょうか。

スポーツで「ギャンブル」を

ミクシィはスポーツ事業として、プロバスケットボールチーム「千葉ジェッツふなばし」の経営、野球情報サイトの運営などを行っています。
そうした中、いま注力しているのがスポーツベッティング。
日本では、地方競馬、競輪、オートレース、競艇などの公営競技での賭け事を指し、アメリカでは主に5大スポーツ(アメリカンフットボール、野球、バスケットボール、アイスホッケー、サッカー)を中心に行われています。
現在、競輪、オートレースのチケットを販売する「TIPSTAR」や「チャリロト.com」を運営しているミクシィですが、日本でもアメリカのように対象スポーツを拡大しようと取り組んでいます。
しかし、そこには法律の壁が。新法の制定か、法改正が必須条件となるのです。
「実は、今回インタビューする木村社長は、大学院でスポーツベッティングについて研究していて、論文まで書いているんです」
藤村「スポーツ事業のために、大学院で勉強したっていうことですか?」
木村社長は、2020年4月より早稲田大学大学院で1年間にわたりスポーツビジネスを研究し、今春3月に修了。修士論文も書くほど、スポーツ事業に熱を入れています。
論文でフォーカスしているのは、アメリカのドラフトキングス社。同国のスポーツベッティング業界トップ企業で、時価総額は209億ドル(約2兆3000億円、番組収録時点)を誇ります。
「(ドラフトキングス社の時価総額)そんなに? すごいですね」
谷口「アメリカでしょ? アメリカって、バーとかで(スポーツ映像が)よく映ってない?」
藤村「それこそ......、ハブみたいな......?」
谷口「きた」
「そういうことですよね」

世界的な盛り上がり

では、スポーツベッティングの世界的な市場動向はどうなっているのでしょうか。気になった取材班は、スポーツジャーナリストの中島大輔さんに話を聞くことに。
中島「(世界的に)めちゃくちゃ盛り上がっていて、一番広がっているのはアメリカですね。もともと、ファンタジースポーツというゲームが流行していました。そこからスポーツベッティングの流れに来ています」
◆ファンタジースポーツとは?
特定のプロスポーツで実在する好きな選手を集め、バーチャル上に架空のオリジナルチームを編成する。チームのスコアは、現実世界の試合における各選手の活躍に連動しており、その成績や活躍度合いによってポイントが決まる。その総合ポイントなどを他者と競う、オンラインスポーツシミュレーションゲーム。
こうしたお話を伺った後、今後の日本での流れについても詳しく聞くことができたようです。
ヒアリングを終えると、今度はミクシィがスポーツベッティング事業でどう稼ぐのか気になり、さらにリサーチを続けます。
「ビジネスモデルは、ちゃんと理解したいですよね」
公営競技は、地方公共団体が運営しており、ミクシィは販売を委託されています。
しかし、そのキャッシュフローが少々ややこしい様子。3人で、構造を一つひとつ丁寧に解剖していきます。
さらに、ユーザーの感覚を知りたくなった3人は、実際に自分たちでTIPSTARをプレイしてみることに。すっかり入り込んでしまいました。

ミクシィは「法律」を変えるのか?

ひと段落したところで、木村社長への質問を決めていきます。
今回は、大きく3つの柱を立てました。
  1. スポーツ事業をどう成長させるか?
  2. ゲーム事業、今後の位置付けは?
  3. 結局、ミクシィは「何屋」なのか?
インタビューに臨むのは、岡記者と谷口記者の2人。
渋谷スクランブルスクエア36Fの見晴らしのいい景色をバックに、いざ取材が始まります。
木村社長「私たちは、既存の公営競技にはない、新たなマーケットを取りに行きたい」
装いはカジュアルながら、思考と語り口はロジカルに。木村社長は淡々と語り始めます。
日本において「スポーツベッティングの合法化」とは、そもそもどういったことを指すのか。
やはり法律を変える必要があるのか。
どの法律を変えるのか。
率直な質問に、木村社長はどう答えるのでしょうか。
その真相は、今夜の『デューデリだん!』でご覧ください。
『デューデリだん!』は、今後も隔週ペースで土曜夜10時に配信していきます。
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