[ワシントン 20日 ロイター] - バイデン米大統領は駐中国大使に元国務次官のニコラス・バーンズ氏を指名する。ホワイトハウスが20日に発表した。米国はここ10年、元政治家を中国大使に任命してきたが、バイデン政権は外交のプロを送る。駐日大使にはラーム・エマニュエル前シカゴ市長を指名する。

就任には上院の承認が必要となる。2005年から08年まで国務次官を務めたバーンズ氏は、米中関係が過去最悪とも言えるタイミングで北京へ向かうことになる。駐中国大使はトランプ前政権下のテリー・ブランスタッド氏が退任した昨年10月から空席となっていた。

バーンズ氏は政府の職務に戻ることを楽しみにしているとした上で、「米国と中華人民共和国の戦略的競争、この重要な局面で両国が直面する困難で複雑な課題に取り組む」と語った。

米中は通商や先端技術、新型コロナウイルス、台湾、南シナ海など幅広い問題を巡って衝突してきた。アフガニスタンをイスラム主義組織タリバンが掌握したことも、米国にとっては新たな頭痛の種になる可能性がある。

中国もタリバンをアフガニスタン政府として承認していないが、タリバンの代表団は7月下旬、中国を訪れ王毅外相と会談した。王氏は代表団に対し、アフガン紛争を終結させ、国家を再建する上で重要な役割を果たすことを期待していると伝えた。

<駐日大使はオバマ氏側近>

ホワイトハウスはまた、駐日大使にラーム・エマニュエル前シカゴ市長を指名することも発表した。同盟国の日本も、中国との関係が急速に冷え込んでいる。

エマニュエル氏はクリントン政権で財政委員会トップや上級補佐官、オバマ政権で大統領首席補佐官などを歴任した。ホワイトハウスはエマニュエル氏の経験に期待を示し、民主党のペロシ下院議長も歓迎の意を示したが、一部の民主党議員や黒人の人権擁護団体からはシカゴ市長時代の対応を巡って反対の声が上がる可能性がある。

エマニュエル氏は声明で「日米同盟関係は自由で開かれたインド太平洋における平和と繁栄の礎だ」などと見解を示した。

シカゴでは14年に黒人少年が警察官に射殺され、それを隠蔽していたとして19年に警官4人が解雇された。人種間の対立が広がり、エマニュエル氏の市長辞任を求める声が上がった。

今年6月に大使起用の観測が浮上した際は、被害者の遺族らが反対する声明を発表した。