米J&J、次期CEOにホアキン・デュアト氏起用-来年1月3日就任
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米J&J(ジョンソン・エンド・ジョンソン)は、米国で最も伝統ある優良企業の一つで、製薬大手ヤンセン社、コンタクトレンズ大手J&J・ビジョンケア(アキュビューブランドの方が知られているかもわかりません)などを傘下に置く、製薬・ヘルスケア事業のコングロマリットです。グループ売上高は約750億ドル(約8兆2000億円)と巨大です。
売上は堅調ながら、現在、「ベビーパウダー」と「オピオイド系ペプチド」で高額訴訟をいくつも抱えています。
ベビーパウダーでは、発がん性のあるアスベスト(石綿)が混入していたことが明らかになり、これが原因で20名が卵巣がんを発症したとして、ミズーリ州セントルイスの控訴裁では、21億ドル(約2300億円)の賠償金支払いが確定していました。同商品は使用者が多く、2万6000件を超える訴訟を抱えているとのことで、天文学的に賠償金が増加する可能性があり、他の州の判決もこれに続く可能性が指摘されています。
ベビーパウダー事業については、関連事業を別企業として分離させたいと考えているとの報道が出ていますが、事実だとすると、訴訟からの本体破産のリスクを分離したいということになります。一方、オピオイド系ペプチドでも数百億円単位の賠償金を数回にわたって支払っています。
同社には訴訟リスクが内在しているため、極めて難しいかじ取りが迫られています。その点で、次期CEOに、テクノロジー部門にバックグラウンドを有するホアキン・デュアト氏起用されたことについては意外な印象を受けました。(法務にバックグラウンドを持つ有力者が時期CEOに指名されるものと思っていました。)
同社は売り上げの約11%を研究開発に投資する「研究開発牽引型」の企業で、生き残りは新製品あるのみとの考え方が強いのだと思います。