コロナワクチン、米が追加接種を承認 9月20日から全人口に
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米国がいよいよ追加接種に向けて動き始めました。追加接種はまだ不要であるとか、追加接種が必要であるとか、様々なアナウンスが出る中で頭が混乱させられるかもしれませんが、この感染症との付き合いは過去に経験のないものであり、エビデンスは日々積み重なっていて、学びながら進んでいるのだということが実感させられる局面でもあると思います。
この追加接種については、正直なところ、まだエビデンスとしては不十分だと思います。FDAの使用許可申請は、接種後6ヶ月時点での有効性が低下していたとするイスラエルなどからのデータと、自社の抗体の推移のデータをもとにしているようですが、ランダム化比較試験に基づくものではなく、根拠としては弱いと思います。
一方で、デルタの感染拡大が目の前でまさに起こっており、それを止めるための手段の一つとして、追加接種を急ぎたいという狙いもあると考えられます。
「分かっていること」という視点でまとめれば、まだ免疫抑制患者を除いて、いつどんな人に追加接種が必要かは分かっていないというのが正確なところだと思います。米国では2021年8月24日付でファイザーとモデルナ製ワクチンの追加接種の承認が「免疫力が低下している方対象」に認められていましたが、今後臨床成績が充実すれば、また感染が再拡大すれば、対象が拡大される可能性が高いと予想できました。
「米CDC、コロナワクチン追加接種を承認 ファイザーとモデルナ製」(Reuters 2021年8月14日)
https://newspicks.com/news/6098705?ref=user_1310166
本日報道された、米国で9月20日からの特定対象を外した接種承認は、「デルタ株のような感染力の高い変異株への対応には、3回目接種が最善策(現時点では接種によらなければ対処できない)」と米当局(CDCとFDA)が判断していることによるものです。
ファイザー製については、2020年7月~21年3月に米独など6カ国4万人以上を対象に実施した追跡調査に基づく結果として、有効率は「1回目接種~10日後」の期間に18.2%が、「11日後~2回目の接種」に91.7%と急上昇。「2回目の接種1週間~2カ月後」に96.2%でピークに、その後「2回目の接種から2~4カ月後」には90.1%、「4~6カ月後」には83.7%と減少。一方、重症化防止の有効率は、2回目の接種から8カ月が経過しても96.7%と高水準に維持されると発表されていました。
また、ファイザー製について、8か月以降に3回目の投与が可能(ベネフィットがリスクを上回る)との根拠は、以下の臨床試験の成績に基づくものと思われます。
2回接種後の方を対象に、3回目のブースター接種を臨床第1/2/3相試験として実施した初期の結果
「野生株とベータ株に対する免疫原性は、 2回の初回投与後よりも5〜10倍高くなり、3回目の投与はデルタ株に対する中和力価を誘発し、2回の投与後よりも若年層で5倍以上、高齢者で11倍以上高いことを示した。」
https://s21.q4cdn.com/317678438/files/doc_financials/2021/q2/Q2-2021-Earnings-Charts-FINAL.pdf(ファイザー社公表 2021年7月28日 スライド26~27枚目)二回接種でも中和抗体の値が下がってくるので、8か月目で三回目のブースター接種が必要と、イスラエル、イギリスに続いてアメリカも認めた。イスラエルで感染急増しているのも後押しになったのだろう。中低所得国ではワクチン接種がいまだ進んでいないため、WHOは9月末までブースター接種を控えるよう求めていた。米国では、これから体制組み直しも必要なので1か月の準備期間をへて9月20日の週から開始。
まだ一回目接種すら進んでいない層がいるのに、3回目も進めないといけない。4月頃、ファイザーのブーラCEOはブースター接種は二回接種後の6-12か月後に必要になるのではと話していたが、12か月もたなかった。ほんと一進一退という感じ。
Pfizer CEO says third Covid vaccine dose likely needed within 12 months
https://www.cnbc.com/2021/04/15/pfizer-ceo-says-third-covid-vaccine-dose-likely-needed-within-12-months.html