「個人の行動制限法整備を」分科会で複数の専門家
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お気持ちは理解できます。そういう議論があってもいいです。でも話の順序は逆で、まずは医療体制を整備すること。そして給付金や補償金は先払いするシステムを機能させること。リモートワークを進められるサポートやインセンティブを十分に用意すること。そして何よりワクチンです。すべてはそこからです。これほど協力的な国民はいません。人流がなかなか減らないのは、行政に愛想が尽きたからです。子どもの運動会は止められる一方で、五輪は開催する。もっと我慢しろと言われても、従う気にならないのは当然です。
感染力が強く致死率も高く濃厚接触者を追って隔離で防ぐべきエボラ出血熱とかSARSとかいったウイルスに備え、個人の行動を制限する法律が必要なことは分からないでもありません。しかし、「多くの専門家」と政府・自治体の対応を見るにつけ、今の時点で容認する気にはとてもなれません。
以下は8月9日までの1週間の各国の人口10万人当たりの新規陽性者数と死者数(括弧内)です。行動制限を解除して4-6月期の経済成長率を大きく高めた諸国と比べ、日本の方が圧倒的に少ないことは明らかです。
日本 88人(0.1人)
米国 269人(1.3人)
英国 298人(0.9人)
フランス 222人(0.5人)
これまでの累計で見ると差はもっと極端で、人口100万人あたりの陽性者数と死者は次の通りです。欧米の状況をパンデミックと称するなら、日本にパンデミックは無かったとも言えるほど。
日本 8,612人(122人)
米国 109,992人(1,872人)
英国 92,508人(1,957人)
フランス 93,125人(1,661人)
こうした数値を眺めると、危機的状況にあるのは感染状況そのものでなく、医療供給体制とワクチン接種の遅れであることは明らかです。それを放置したまま営業自粛と個人の行動制限ばかりに力を注ぐ政府・自治体にそんな道具を与えたら、身内の損失回避に拘って政府の介入を拒絶しがちな“専門家”とそれを忖度する政府が一緒になって国民の行動をますます制約し、医療機関の改革というしんどい仕事に手を染めなくなるのは火を見るより明らかです。今の時点で作るなら”医療機関動員法”じゃないのかな・・・ ( 一一)