[カブール 16日 ロイター] - アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンが15日に首都カブールの大統領府を掌握したことを受け、16日には国外脱出を図る人々が空港に殺到、米国は混乱解消に向けカブールから退避する航空機の運航を停止した。米軍撤退を巡り、バイデン米大統領への批判が強まっている。

アフガンの民間放送局トロニュースの映像では、国外に逃れようとカブールの空港に押し寄せた人々が、滑走路をゆっくりと移動する米軍輸送機にしがみつく様子などが確認できる。

米当局者によると、米国の外交官や大使館職員を退避させる軍用機に人々が無理に乗り込もうとするのを阻止するため、米軍が空に向けて発砲したという。

混乱の中、5人が死亡したという情報があり、カブールから退避する航空機の運航が停止された。目撃者は死亡した原因が発砲によるものか、将棋倒しによるものかは不明としている。米政府当局者はロイターに対し、カブールの空港を警備する米軍部隊が過去24時間に、武装した襲撃者2人を殺害したと明らかにした。

米国防総省の報道官は、米兵士1人が負傷したとの情報があると述べた。

バイデン米大統領は16日、混乱を受けて批判が強まる中、自身の決定の正当性を訴え、米軍にアフガンの内戦で延々と戦いを続けさせるか、トランプ前大統領が交渉した撤退の合意を実行するか選択しなければならなかったと主張。

国外に脱出したアフガン政府指導部のほか、タリバンと積極的に戦わなかった同国軍を非難した。

グテレス国連事務総長は、安全保障理事会に対し「アフガニスタンにおける世界的なテロの脅威を抑制するために全ての手段を用いる」よう呼び掛けた。同国で基本的人権が尊重されるよう確実にする必要があるとも強調した。

国連安保理は、アフガンにおける新政権樹立に向けた協議を求めるとともに、戦争や虐待の終結を呼び掛けた。

ウズベキスタン検察当局は、今週末に数百人のアフガン兵士が軍用機22機とヘリコプター24機で避難してきたと発表した。

ロシア外務省は、ラブロフ外相がブリンケン米国務長官とアフガン情勢を巡り電話会談し、中国やパキスタン、国連との協議を継続する方針で合意したと明らかにした。

タリバンは、女性の権利を尊重し、外国人とアフガン人の両方を保護すると約束するなど、より穏健なイメージを与えようとしているが、多くのアフガン人は、タリバンが過去の厳しい慣習に戻るのではないかと恐れている。