2021/8/18

【解説】「参入障壁」が分かれば、長期投資は成功する

NewsPicks 記者
企業経営において必須の素養である経営理論。経営者だけでもなく、投資にも応用できるはずだ。
例えば、単に運がよかった、たまたまブームに乗っかっている企業と、本質的に高い競争力を持つ企業との見極めにも、経営理論は使えるのではないか。
そのようにして真に強い企業を見極められれば、株式投資による資産運用にも生かせるはずだ。
そこで、農林中金バリューインベストメンツのチーフ・インベストメント・オフィサー(CIO)、奥野一成氏にインタビューした。
「仮に証券取引所が5年間閉まったとしても、困ることがない」ほどの長期投資をモットーにする奥野氏は、投資について学べるNewsPicksの番組「インベスターズ」やプロピッカー新書にも登場。
今回、経営理論を資産運用に使うための「秘伝のタレ」を紹介してもらう。
INDEX
  • 「利益の影」を追え
  • なぜ、利益より参入障壁なのか
  • 理論と「秘伝のタレ」

「利益の影」を追え

──長期的な投資のスタンスについて教えてください。
世の中には、短期的な投資と長期的な投資があります。両者は、クリケットと野球のように、ルールそのものが違うので、一概に比較はできません。
短期投資では、相場や「どの商品が流行しているか」といったトレンドに注目するでしょう。
一方、私たちは長期視点で投資しています。つまり、「一度買ったら、売る必要がない」会社にしか投資しません。
株価というのは、我々にとって「利益の影」です。利益とは、「5年、10年、もうかればいい」といったものではなく、より長期間にわたる利益です。
そのように考えると、単に市場が大きくなっていけばいいという話でもありません。成長性そのものよりも、「本当に世の中に必要とされているか」、「参入障壁があるか」のような観点に行き着きます。