タリバン、要衝2都市制圧=首都孤立、米大使館員の退避開始―アフガン
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今回の内戦の天王山になると思われていた北部最大の要衝、バルフ州の州都マザリシャリフが、僅か1日の攻防で陥落しました
どうやらバルフ州軍団の司令官ザビフラ・モーマントがタリバンに内通しており、戦闘開始とともに姿を消し、同時に西の防衛ラインを守っていた政府軍第209師団が降伏。
そこからタリバンが市内に雪崩れ込んで、防衛の指揮を取っていた軍閥のボスの一人、アッタ・ムハンマド・ヌールが逃走したことで、あっけなく勝負が決した模様です。
尚、マザリシャリフを本拠地とする北部軍閥の首領ドスタム将軍は、決戦直前に何故かカブールに向った為無事だったとのことです。(タイミング的に少し出来過ぎのような気もしますが)
ともあれ最大の激戦が予想されたマザリシャリフが呆気なく落ちたことで、タリバンの支配する州都は23都市となり、残す主要都市は実質首都カブールのみとなりました。
もはやこの数日のうちにカブールが陥落しても、なんらの不思議もない状況になってきました。
(追記)
マジャリシャリフに続いて、ラグマーン州のマフタルラーム、ファリヤブ州のマリーマナ、ナンガルハール州のジャララバード、ダーイクンディ州のニリが相次いで開城し、タリバンの支配州は34のうち27となりました。アフガニスタンの全34州の内、ターリバーンが州都を占領したのは、25州になりました。もっとも、他の州都も実質的には政府軍はもう逃げています。
州都以外の農村部や山岳地帯については、従来からターリバーンが活動していました。カブール政府が抑えていたのは、州都のような都市部だけでした。その都市部も、米軍が撤退するとともにターリバーンは一挙に占領しました。
毛沢東がいうゲリラ戦の基本、「敵が進めば我は退き、敵が休めば我は撹乱し、敵が疲れたら我は打ち、敵が退けば我は進む」です。米軍がいる20年間は、ターリバーンは農村や山岳部の民衆の間に潜んでいましたが、やがて撹乱攻撃を増やし、米軍撤退とともに一斉に攻勢に出ました。
きのうあたりからは、州都の占領、といっても、カブール政府軍は戦うまでもなく消えてしまっていて、地元の長老たちの代表がターリバーンを訪れて都市の明け渡しを申し出て、ターリバーンが受け入れて進駐、というのが多くなりました。
これから数日間のクライマックスは、米国の完全撤退です。首都カブールに残る3千人程度の米国人たちに残された猶予は3日以内でしょう。その間、米軍3千~5千が派遣されて、カブール(の米国人)を防衛します。米国人の完全撤退が終われば、カブールはターリバーンが占領するでしょう。
カブールは、電気が断たれていて、夜間も真っ暗です。その間も、カブールにターリバーンの部隊は進入を続けていて、各所で戦闘が起きています。
米国人やその同盟国のカブール国際空港からの撤退、カブール政府要人をはじめとする対米協力者の脱出は、すでに大変な混乱を呈していますが、さらにこれから混乱を極めるでしょう。昨今のアフガン関連ニュースに関する国民の関心は決して高くないと思いますが、「どこかの国の軍事力の傘に守られている(守られていた)」ということの一つの結果がこれである、としっかりと直視すべきと考えます。