パナ、ブラジルのテレビ生産終了 採算悪化で集約、世界3拠点に
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2021年3月をもってテレビなどのブラジル国内製造から撤退したソニーに続いて、パナソニックもテレビの生産が決定。多くの日本メーカーのプロダクトを販売する小売店をデザインしている身として、非常に残念な結果です。一方で、テレビなどは相当前から韓国・中国勢に圧倒されてきたわけで早々に違う舵取りをするべきだったということも思います。
海外で日本のメーカーのプロダクトを外国の方々に販売する現場にいる一人としては、やはり他国のメーカーに比べて圧倒的にプロモーションにかけるコストが低すぎますし、いくら品質が良くてもそこを強調したところでそういうアルチザン的な視点では現地の消費者にはあまり響きません。そもそも韓国、特に中国メーカーのテレビとは価格帯でターゲットが違うので、アッパー層向けのマーケティングが全然うまくできていなかったというのが日本勢撤退の大きな理由だと思います。
80-90年代の債務危機と月間3000%を超えるハイバーインフレが原因で、それまで300社近く進出していた多くの日本企業が2000年までにブラジルから撤退していきましたが、金融危機後じりじりとまたしても撤退が相次いでおり、ブラジル経済界の中では日本企業のいいニュースはあまり聞こえてきません。日本企業は過去の繁栄から来る妙なプライドなのか、相変わらず単独プレーをする傾向が強く、単体の企業としてではなく、国、もしくは商工会などが主体となってそれぞれの企業が経験をシェアし、集合知で対策を講じていかなければまたしてもこの国でのマーケットシェアの機会を失ってしまいます。
ちなみに、ハイパーインフレ時代に多くの日系企業が本社の支援無く孤立無援であったに対し、欧米企業はハイパーインフレで目減りした資本金を補填する為、本社から増資を繰り返し行って生き抜き、並行して駐在員を現地化させローカル人材も育成した結果、本国を抜いてブラジル法人がグループ内1位の業績を上げる企業も生まれています。例えば、イタリアのフィアット、スペインのサンタンデール、ドイツのニーヴェア、アメリカのエイヴォンなど。スイスのネッスルやオランダのユニリバーなどもブラジルで大成功を収めている企業の一つです。
ブラジルマーケットのプレゼンスが日本企業の間でも少しでも上がるように私も日々精進しなければと改めて痛感しています。藤井さんおっしゃるように、もうかなり前から韓国勢など後発組との価格差、マーケティングにかける資金の差、さらに技術格差縮小という状況にありました。
時代の流れでテレビ自体がコモディティ化する中、ブラジルにおける同社のプラズマテレビでの差別化戦略も厳しい状況に置かれてたと認識してます。
おまけに新型コロナで市場も縮小した上、通貨が弱くなったりして部品の殆ど全てを輸入に頼るマナウス(*)の工場の生産コスト管理も困難な状況だったのではと推察します。
( (*)アマゾン川中流のマナウス市にあるフリーゾーンで、ここである程度の付加価値を付けて生産することを条件に、部品などの関税が減免される。多くの組み立てメーカーが工場を設置している)
多くの日本の電機機器メーカーが在ブラジルのEMSに生産移管する流れが強まる中、パナソニックがテレビでどんな撤退戦略に個人的には注目してました。
TCLに生産委託するようで、妥当な撤退戦略かなと思います。
パナソニックは、テレビ以外にもブラジルでいろんな事業展開しているので、そちらには引き続き注目していきたいと思います。