[12日 ロイター] - 米娯楽大手ウォルト・ディズニーが12日発表した第3・四半期(7月3日まで)決算は市場予想を上回る内容となった。動画配信サービスで新規契約者を獲得したほか、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で打撃を受けていたテーマパーク部門が黒字化した。

株価は引け後の時間外取引で5%高となった。

特定項目を除く1株利益は0.80ドル。リフィニティブがまとめたアナリスト予想は0.55ドルだった。

クリスティン・マッカーシー最高財務責任者(CFO)は米国の2つのテーマパークについて、コロナ感染者が増加する中でも予約状況は引き続き堅調だと指摘した。

ボブ・チャペック最高経営責任者(CEO)もアナリスト向けの電話説明会で「今後のパーク事業についてわれわれは引き続き強気だ」と述べた。幹部らによると、現在の予約状況は4─6月期の来場者数を上回るペースという。

旗艦パーク「ディズニーワールド」があるフロリダ州は現在、米国の感染拡大中心地となっており、このところ感染者数や入院者数が過去最多に達している。

サウスウエスト航空やエアビーアンドビーは感染拡大による業績への影響を警告したが、ディズニーはデルタ株の影響を巡りより楽観的な見方を示した。

ディズニーの4─6月期のテーマパーク来場者数はパンデミック関連の制限緩和を受けて増加。テーマパーク部門の売上高は5四半期ぶりに増加し、43億4000万ドルとなった。

コンシューマープロダクツを含む同部門の純利益は3億5600万ドル。大半のパークが閉鎖された前年同期には19億ドルの損失を計上していた。米国のパークは200万ドルの利益、海外のパークは2億1000万ドルの損失を計上した。

ハーグリーブス・ランズダウンの株式アナリスト、ニコラス・ハイエット氏は「米国のパークがほぼ収支トントンになったのは重要な転換点だ」とし、「(同社は)嵐を乗り切り、テーマパークの堅調な業績がアナリスト予想を上回る決算に寄与した」と述べた。

動画配信では、「ディズニー+(プラス)」、「Hulu」、「ESPN+」の3つのサービスで1500万人近い新規契約者を獲得し、合計で約1億7400万人となった。ディズニープラスの第3・四半期末の契約者数は1億1600万人で、ファクトセットがまとめたアナリスト予想の1億1520万人をわずかに上回った。

PPフォアサイトのアナリスト、パオロ・ペスカトール氏は「ディズニーは動画配信サービスに注力している。ネットフリックスと並び、ディズニープラスが欠かせない動画配信サービスになっていることは明らかだ」と述べた。

「メディア・アンド・エンターテインメント・ディストリビューション」部門の営業利益は32%減の20億ドル。番組制作費用が増加した。

ディズニープラスを含む「ダイレクト・トゥ・コンシューマー」部門は2億9300万ドルの赤字。テレビ番組や映画などへの投資がかさんだ。前年同期は6億2400万ドルの赤字だった。

総売上高は45%増の170億2000万ドルと、アナリスト予想の167億6000万ドルを上回った。

継続事業ベースの純利益は9億2300万ドル(1株当たり0.50ドル)。前年同期は47億2000万ドル(同2.61ドル)の損失だった。