[11日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)の政策当局者らは11日、米経済は堅調なペースで成長しており、労働市場も回復していることから、景気支援策を縮小し始める時期に差し掛かっているとの認識を示した。

当局者らの間では、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)を受けて昨年導入した大規模な資産買い入れプログラムの縮小をいつ、どのように開始すべきか議論されており、さまざまな見解がある。

カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁は、現在のインフレ上昇や最近の労働市場の改善、引き続き強い需要が見込まれることなどから、債券買い入れプログラムを縮小する基準はすでに満たされている可能性があると指摘。

同総裁は全米企業エコノミスト協会(NABE)主催のオンラインセミナー向けの講演で、「このような状況下では、資産買い入れを終了させることを支持する」と述べた。

ダラス地区連銀のカプラン総裁は、CNBCのインタビューで、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で10月からテーパリング(量的緩和の縮小)に着手することを発表すべきとの考えを示した。

同総裁は、債券買い入れは需要面ではなく供給面の問題に悩まされている経済では役に立たないとし、早期に縮小することで過剰なリスクテイクを最小限に抑えられる可能性がある、と指摘した。

FRBは昨年に政策金利をゼロ付近に引き下げ、物価と雇用の目標に向けて「実質的な一段の進展」があるまで、月額1200億ドルの債券買い入れを継続すると表明した。

ジョージ総裁は、こうした金融政策と財政政策による力強い支援で、経済は新型コロナ感染拡大による危機から回復したとし、「(支援措置を)縮小する時期が来たことが示されている」と述べた。

一方、リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は10日に行われたロイターのインタビューで、FRBが景気支援の解除に踏み出せる程度に労働市場が回復するにはまだ数カ月かかかる可能性があるとの見通しを示した。

テーパリングの開始について、「われわれは近づいているが、明確な時期は不明だ。実際にその時期に近づけば、経済情勢が許す限り、迅速にテーパリングに踏み切り、正常な環境に戻すことを支持する」と語った。

同総裁はまた、「失業保険が失効し、学校が再開し、夏が終わっても労働力人口が大きく増加しなければ、自分の仮定に疑問を持たざるを得ない」とし、今秋に雇用が回復する可能性にも疑問が残るとした。