アフガン首都、90日以内に陥落も タリバン猛攻で=米当局者
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この予測は「首都カブールを孤立させるのに30日、占領するまで90日」というものです。つまり、ターリバーンがカブール以外のアフガニスタン全土を制圧するのは9月初めにはできても、カブール攻略にはそこから2か月かかる、という主張です。
アフガニスタンの人口は3千万人、その内500万人がカブールに住んでいます。ただ、現在は各地からの難民がカブールに流れ込んでいて、カブールの住民はさらに数百万人増えるでしょう。
ターリバーンとしては、人口が千万人ほどに膨れ上がったカブールを包囲して、干上がるのを待つ、という選択肢もあるでしょう。そうなる前に、カブール政府の要人はほとんど飛行機で外国に脱出するでしょう。
米国の計算は、カブール政府がまともに戦えば攻略まで90日、という発想です。まともに戦う、ということはまず起きないでしょう。必ず、ターリバーンに内通して、身の安全と引き換えにカブールを明け渡す人間が出てきます。大統領や閣僚は外国に逃げるでしょうから、どれくらい下のランクになるかわかりませんが、ターリバーンが包囲を完成させるまでもなく、内通しようとする高官が出てくるかもしれません。
アフガニスタンの歴史では、そうやって戦いの決着がついてきたし、とりわけ今回のターリバーンの攻勢では、内通し、寝返る政府幹部が非常に多く出ています。つまり、90日よりももっと早く片がつくでしょう。タリバンが早期に全土を制圧できるかどうかは、この後のマザリシャリフの戦い如何にかかっています。
1989年ソ連軍撤退後のムジャヒディンの攻勢でソ連の傀儡政権であったナジブラ政権は崩壊寸前と考えられていました。
しかしジャララバードの戦いでドスタム将軍率いる第53師団と大統領警護隊の前に大敗を喫し、組織が分裂。
結局ナジブラ政権は以後3年あまりに渡って存続することになりました。
そのナジブラ政権を倒したのは、この時ムジャヒディンを破り、のちに寝返ったドスタム将軍ですが、その本拠地が北部最大の都市マジャリシャリフです。
マザリシャリフはタリバンにとっては因縁の地で、1997年にドスタム派の分裂に付け込み同市に侵攻しましたが、最高幹部を含む数千人の兵力を失い、一時組織が存亡の危機に陥るほどの大打撃を受けました。
翌年パキスタンの支援でなんとかマザリシャリフを落としましたが、この時報復としてハザラ人を虐殺、このことがパシュトゥーン人を主体とするタリバンに対し、ハザラ人、タジク人などの少数民族を中心とする北部が対立するきっかけとなりました。
2001年、アメリカの支援を受けた北部同盟がマジャリシャリフをタリバンから奪還。
今度は投降したタリバン兵3000人をカライジャンギで虐殺するという事件が発生し、さらに国家の分裂を深める要因となりました。
現在マジャリシャリフには、北部各州からの残兵が集結しており、トルコで病気療養中だったドスタム将軍や、クンドゥース攻防戦で敗れたその息子も合流し、政府軍の中で唯一まともな戦力である精鋭の特殊作戦旅団も援軍として派遣されたと報道されています。
昨日のフェイザーバードの陥落で北部はほ制圧され、首都カブールとの間の補給戦も既に絶たれている為、まもなく包囲戦が始まることはほぼ間違いありません。
この街が他の町と同様簡単に陥落するのか、或いは死兵となって戦い1989年のジャララバードや1997年のマジャリシャリフの再現をすることになるのかが、ガニー政権が本当に90日以内に崩壊するかどうかの最大のポイントになるでしょう。米軍撤退によりタリバンが圧倒的に優勢になる中で、和平交渉に応じるとは思えず、応じたとしても相当タリバン有利の協定でなければ和平協定を結ばないだろう。それでも米軍撤退は変わらないのだから、2001年以前に逆戻りすることは不可避。再びテロリストの巣窟になるかは不明だが。