新規上場「値決め」、公取委が調査 欧米より調達少なく
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アンダーライターはIPOディスカウント分上昇したセカンダリー価格をターゲット(IPOディスカウント20%なら、公募価格の上昇20%以内の初値含むセカンダリー価格)としてプライシングするべきという前提となりますが、調査においては以下の点も考慮すべきかと考えます。
・オファリングサイズが小さく、機関投資家ポーション20%のディールにおける初値騰落率は一時的な需給逼迫によるものも含まれていないか
・ヒアリング対象が直近上場した国内の約100社とあるが、上昇した初値を維持し続けているのか(複数回の四半期決算を株価が反映した結果なのか)
・証券会社と十分に交渉できたか?という質問に関しては、アンダーライターはフェアバリューの考え方の説明を十分にしているかという点に加えて、発行体側もフェアバリューを認識するノウハウが蓄積されているか
何れにしても、エクイティストーリー・バリュエーション・販売戦略をアンダーライターと発行体が十分議論して、利害関係者が納得のいくフェアバリュー目線を持ってIPOするという事が、上場後も視野に入れたIPO準備になるかと思いますし、健全な株式市場の発展につながると考えます。間違っているのは公募価格か、それとも初値なのか?資本主義経済というマクロの観点で大事なのはそこでして、闇雲に市場価格を是とする前に、そこで起きていることに目を向ける必要があると思います。特に、個人が買い手の主体で初日にぶち上げるような銘柄については。
資本市場の最も重要な役割は価格発見力(price discovery)。リスクや成長性、資本コストなどを勘案した「本来の株価」をあの手この手で見つけにかかること。なぜなら、その本来の価格での資金調達が社会全体での資本の最大活用をもたらすからです。
とある会社がリスクに見合わないトチ狂った価格で公募したとします。その会社の経営者にとっては調達額は少しでも多い方がよいし、既存株主にとっても同じ希薄化割合ならば発行単価は少しでも高い方がよい。でも、割高な調達というのは本来他社に回るはずだった資本が削られるということで、社会全体で見れば損失です。
公募価格と初値の乖離問題には、確かに証券会社の利害相反という側面があります。しかし、仮に本来の株価が1000円のところ、市場の需給は1500円で釣り合っているとした場合、公募価格はいくらであるべきか?資本主義経済が最も伸びるためには公募価格は1000円に設定されるのが一番よいのです。1500円で公募すると、一株あたり500円分の資本がリスクに見合わない単価でその会社に渡るからです。別の言い方をすると、その資本は別の会社に渡った方が世の中の役に立つということです。
株式市場の価格発見力には、神の手はありません。不断の努力によってなんとか維持しなければならない性質のものなのです。
正しい株価がよりよい社会をうむ理由 https://note.com/propro/n/n8787813df663株式市場に、証券会社の顧客である投資家に有利で、そのコストをIPOを行うスタートアップなどの企業が負担するという構図があるならば、それはよくないこと。
株式市場を資金調達・運用の双方から見てバランスの取れた公平な市場にしていくのは市場の国際競争力の観点からも重要。
今回、公取の調査が入ることにより、その歪みが是正され、投資家・企業にとってwin-winとなる方向に改革が進むことを期待したい。