新型コロナワクチンによる『心臓に炎症を起こすリスク』を、どのように考えれば良いですか?
コメント
注目のコメント
Yahoo!個人の記事を更新しました。
12歳以上のモデルナ社製ワクチンも承認され、mRNAワクチンの接種が小児にも広がってこようとしてきています。
一方で、外来ではmRNAワクチンによる心筋炎を心配する質問もいただきます。
そのリスクに関し、最近の研究結果をまとめました。非常にわかりやすく、リスクの定量的な比較をして下さっているほむほむ先生の記事です。
特にワクチンなど、健康な人に対する予防医療の話題になると、「小さなリスクを過大評価」する事が多いです。
少しでも怖いリスクがあるからやめる、反対する、というのはまさに「木を見て森を見ず」の状態であり、この記事にあるように、心膜炎/心筋炎についてワクチンを打った場合と打たなくて感染した場合のリスクを比較すると、「ワクチンによる心膜炎/心筋炎」のリスクを過大評価するのは問題であることに気付けるのではないでしょうか。
どんな医療にも副作用があります(ワクチンでは副反応と呼びます)。
手術すれば手術自体のリスクのみではなく麻酔などのリスクもありますし、手術の合併症で死ぬこともあります。
例えば軟膏一つにしても、重篤な皮膚障害を起こし命にかかわる事がない訳ではありません。
ここで大事なのが、「リスクの定量的な比較」です。
手術をすることや、薬を使うこと、そしてワクチンを投与する事により「得られるメリット・デメリット」と、
それらを投与しないことにより「得られるメリット・デメリット」を比較します。
そして医療の現場では、このメリットデメリットを確率・統計なども用いて比較し、「するメリットが他を上回る」という判断でさまざまな治療などを行っているのです。
(これを統計などを用いてあらかじめ徹底的に解析しているのが臨床試験、という考え方もできます)
特にワクチンはこの問題に苦しんできました。
病気に対する治療であれば、現時点で患者は目の前のデメリットを自覚しており、治療によるメリットが上回る事を理解しやすいです。
しかし、予防はその効果が非常に見えにくく、現時点で接種対象者は健康であるため、接種によるメリットが感じにくい反面、デメリットには敏感になります。
是非大局的な見方を持って、稀であるリスクを過大評価するのではなく、「しないリスク」についてもきちんと評価した上で、接種などをご検討いただければ幸いです。比較の土俵が、ちょっと違うようなので公平なリスク算定になるよう、「何もない状態(感染してない状態)」からの率を計算してみました。
●心筋炎や心膜炎の発症リスク 100万人中
・ワクチン接種 = 5~20人程度の発症
→約0.002% 【A】
・新型コロナ感染 = 6000〜23000人程度が発症
→約2.3%
日本での新型コロナの感染率 約1百万人/126.4百万人
→ 0.79%
ということは、
ワクチン接種と同じ「何もない状態」から新型コロナに感染&発症した上に心筋炎や心膜炎の発症リスクは
0.023×0.0079 = 0.0001817
→ 0.018% 【B】
(※疫学的な統計方法を知らない医療素人の計算です。間違ってたら誰か正しい計算お願いします!)
AとBを比較してもなお、ワクチン接種の方がリスクが少ないですね。ワクチン打たないと心筋炎や心膜炎の発症リスクは9倍に。
公平な計算をしてもワクチン打った方がメリットある結果になりました。
若年層が不安に思って打たないのはまだいいとしても、30代以降のいい大人はワクチン打った方がいいですよ。ビジネスパーソンなら、リスク算定の出来ない人間だと思われますよ。