[ロンドン 9日 ロイター] - 米金融大手ゴールドマン・サックス、JPモルガン、モルガン・スタンレー(モルガンS)は9日、中国の経済成長率見通しを引き下げた。輸出減速に加え、新型コロナウイルスの感染再拡大で経済活動が抑制されるとの懸念が出ていることが背景。

JPモルガンは中国の経済成長率見通しを第3・四半期は前期比2.0%、通年は8.9%に下方修正。従来はそれぞれ4.3%、9.1%だった。

モルガンSは四半期成長率見通しを1.6%に引き下げたほか、ゴールドマンは四半期成長率見通しを5.8%から2.3%、通年見通しを8.6%から8.3%に引き下げた。

JPモルガンのアナリストは「新型コロナのデルタ変異株の拡散、新たな経済分野における一連の規制変更、市場信頼感の後退」に言及し、「このところの動きはすでに軟調になっている第3・四半期見通しに対する一段の下方リスクになる」とした。

金融政策については、JPモルガンが中国人民銀行(中央銀行)は第4・四半期に主要政策金利を5ベーシスポイント(bp)引き下げると予想。銀行の預金準備率(RRR)については、今年10月と来年1月にそれぞれ50bp引き下げるとの見通しを示した。

モルガンSはRRRについて、年内に1回の50bpの引き下げが実施されると予想。デルタ変異株の感染が拡大する中、輸出減速と内需減退を受け、向こう数カ月で政策支援が拡大される公算が大きいとの見方を示した。

中国税関当局が7日発表した7月の貿易統計によると、輸出は前年比19.3%増となり、前月の32.2%増から鈍化。ロイターがまとめたアナリスト予想は20.8%増だった。輸入は前年比28.1%増で予想の33%増を下回った。前月は36.7%増だった。

また、中国国家統計局が9日発表した7月の生産者物価指数(PPI)は前月から上昇が加速し、アナリスト予想を上回った。原材料価格の高騰に苦しむ企業に一段と圧力がかかっている。