近い将来「ハードディスクは滅亡する」、ストレージ企業が予測
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40年近く前、ハードディスクの開発をしていました。
きっかけは同僚がアメリカ出張土産で、持って帰った丸い円盤の写真が記録記媒体で価格は2万円と聞いたことから。こんなもの我々が作れば5000円もかからないねー、という会話から始まりました。(大変浅はかな考え方でした)
当時の記憶容量は5.25インチ片面で5メガ。
9ギガ超のHDDは小型冷蔵庫くらいありました。
今は磁気ヘッドは常時浮いていますが、当時はCSS(コンタクトスタートストップ)といって、スイッチを切るたびにヘッドは着地したのです。
この難しさを経営陣に分かってもらうため、諏訪湖の上10㎝位をジャンボジェット機が周回していると考えてくださいと説明しました。
ハードディスクにはCSSのダメージを抑えるために、保護膜と潤滑材を薄層で形成していました。しかもストップ時間が長くなるとヘッドがハードディスクに張り付いてしまいHDDが稼働しないという問題も起こります。
そのためにハードディスクには極めて細い溝を磁気膜形成の前に作くり、ヘッドがスティッキング(固着)しにくくしたものです。
こんな問題に苦労するより、ヘッドを常時浮かしておくような機構を考えてくれと、HDD設計者にお願いしたこともありますが、返事を覚えていないので多分できないということだったのでしょう。
20年くらいたってから、PCのHDD容量がGを超えていると聞きびっくり。記憶容量アップのために磁気膜組成をいろいろいじったことを思い出しました。
しかも、ヘッドは着地しない!ちゃんとできているじゃないか。
技術とは進むものだと改めて感じたものです。滅亡するかどうかについてはニュートラルですが、まだ磁気テープが現役で使われていることを考えるとコストや保存性の観点でメリットがあると生き残るかもしれません。
身近すぎるHDDですが、面白いトリビアを一つ。HDDでは磁気ヘッドと呼ばれる情報を読み書きするものがディスク表面から10nm (ナノメートル、ナノは10^(-9))程度の間隔をあけて動作しています。比例計算して磁気ヘッドを航空機の大きさに例えると、地上との隙間はほんの数mm程度。
HDD(Hard Disk Drive : ハードディスクドライブ)とは
https://www.fujitsu.com/jp/products/computing/storage/lib-f/tech/beginner/disk/
ちなみに、私の卒業論文のテーマはSSDに使われるEEPROMの多値書き込みだったのですが、「そんなに速く書いたり容量大きくしたりしてなにすんの?」と審査する先生から質問されたのを思い出しました。