タリバン、アフガン北部州都も制圧
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アフガニスタンには34の州があります。すでに陥落した2州都に加えて、陥落しかかっているところがいくつかあります。その中には、ほとんど一戦も交えずにターリバーンに明け渡したところもあれば、かなり頑強に抵抗しているところもあります。
中央政府の政府軍はあてになりません。もともとアフガニスタンは、群雄割拠で地方豪族みたいなのが軍閥化していた国でした。しかし、2001年にアフガニスタンを占領した米国は、それではおかしいというので、中央集権を進めようとしました。各地の軍閥を弱体化し、中央政府の政府軍を創設しました。
今、ターリバーンに政府軍を立ち向かわせてみると、戦いもせずに逃げ出すか、降伏してターリバーンに加わっています。兵士たちの感覚でいえば、給料がもらえるので政府軍に入ったものの、命をかけてまで戦うような理由は全くありません。国のために戦う、というほど政府に愛着はないし、そもそもアフガニスタン国民であるという意識からしてありません。
今、必死で抵抗しているのは、一族郎党の利権を守ろうとしている地方軍閥です。彼らが利権を独占しているのは、多くのアフガニスタン人にとって利益を奪われることになっているのですが、ターリバーンと命がけで戦う理由を持っているのは軍閥領袖くらいのものです。
地方軍閥は米軍占領下の20年間で弱体化してきたので、動員できる人数もそれぞれ数百人程度になり、装備も軽火器くらいしかありません。ターリバーンは政府軍の装備、つまり米軍が政府軍に供給した装甲車両や重砲を大量に鹵獲しているので、勝負になりません。タリバンは昨日のニムルズ州の州都ザランジに続き、ジョズジャン州の州都シェベルガンを制圧しました。
ほぼ無防備だったザランジと違い、シェベンガンは内戦時代に有力な軍閥であり、ガニー政権では元帥の地位にまで登ったドスタム将軍の本拠地で、一時市内の一部まで占拠されたものの、反撃によりタリバンを押し返していました。
またこの事態に病気療養のためトルコにいたドスタム元帥も急遽帰国し、政権との全面協力を約束しました。
しかし今朝タリバン軍は再び総攻撃を開始。
シェバルガンにはドスタム派民兵と政府軍の援軍も到着していましたが、タリバンの勢いに圧倒され僅か半日余りの戦闘で逃走。
ジェベルガンは陥落しました。
ドスタム派民兵及びガニー政府軍は市内から16キロ離れた空港に退却しそこで援軍を待って反撃すると発表しましたが、この有様では劣勢が挽回できるかどうかは定かではありません。
ほぼ無血開城したザランジと異なり、曲がりなりにも固く守られていた州都の一つを落としたのは大きく、またこの勝利でタリバンは相当量の武器を入手したとの報道もあります。
シェバルガンを落としたタリバンは、クンドゥーズ州の州都クンドゥーズ、バダフシャーン州の州都ファイザーバード、タハール州の州都タールカーンにも攻撃を加えているようです。
アメリカ軍撤退後のアフガニスタンは早くも予断を許さない状況になりつつあります。
（追記 8月8日14時）
先ほどAFPの速報でクンドゥーズ州の州都クンドゥーズが陥落し、政府軍は空港に撤退したとのことです。
アフガニスタン政府からの声明は出ていないので、真偽は不明ですがドミノ倒しのような状況になっていますね。
（追記2 14時45分）
サリプル州の州都サリプルも陥落したとの一部報道が出ています。結局、タリバン支配に戻ると。
自壊する組織を除けば、現実的に実効支配する組織が危なっかしい組織なら、潰すのではなく如何に国際社会に順応できるようにするかを考えるべきというのは、我々はハマスの例で学んだのではなかったでしょうか。
タリバンが壊れる組織であるならこの20年の間に米軍が潰した筈です。壊滅させたはずです。そうでないからこそ生き残っています。
ならば、どう国際社会に順応させるのか、どう人権とイスラム法をうまく両立させるのかなど、彼らに学んでもらうことの重要性は高いと言えます。
