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うーん。これでは「なぜ今日の原油価格が上がると明日のガソリン価格が上がるのか」という質問に対する答えにはなっていません。

たとえばこの記事のいう地政学的要素は「原油価格がなぜ上がるのか」という説明にはなっていても「なぜサウジから遠く離れた極東の日本の東京の江東区の宇佐美辰巳給油所のガソリン価格に今日すぐに反映されるのか」ということの説明にはなっていないのです。そもそも原油を精製してガソリンにして出荷するにはだいたい一ヶ月ぐらいかかるんですよ?

元メジャー社員のわたしが解説しましょう。ガソリン価格が原油価格にすぐに連動して変わる問題。実はこれは在庫(棚卸資産)の評価方法によるものなのです。

石油元売はその昔「先入先出法」を採用していました。「先に仕入れたものから先に出荷したことにしちゃお」という考え方です。つまり出荷される製品の価格には「現在の仕入価格」ではなく「先(前)に仕入れておいた在庫の価格」が反映される。原油価格はCIFで日本に着いたときに値段が決まりますから現在の製品価格に反映されるのは一ヶ月前の仕入れ値になるというわけです。

つまりこの「先入先出法」では原油価格が安くなったり円高で輸入金額が安くなっても一ヶ月後にならないとガソリン価格の値下げとして反映されません。恩恵を消費者が直ちに受けにくい。「その差額がそのまま石油元売各社の利益になる」「価格変動がわかりにくい」という批判があって在庫の評価方法は「後入先出法」に変わりました。

この「後入先出法」は「先入先出法」とは真逆です。現在のガソリン価格のように仕入価格が上昇しているときはそれがすぐに反映される。とはいえデメリットばかりではありません。仕入価格が低下しているときには一ヶ月待たなくても値下げの恩恵をいますぐに受けられるということでもあります。

中期的に見れば必ずメリットもデメリットも消費者のもとにやってくるということです。要は早いか遅いかのタイミングの問題です。そしてこれは在庫評価の変動に左右される石油元売の決算でも同じですが。