2021/8/13

【神話崩壊】ビジネス英語=難しいという誤解を解く

NewsPicks Brand Design Editor
 多くの日本人が、ビジネス英会話に対して「日常英会話の上級編」というイメージを持っている。だから、本当はビジネスで英語を使いたい人も、「まず」日常英会話を学ぶのだ。
 しかし、ビジネス特化型英会話スクール・Bizmates(以下、ビズメイツ)は、「初心者こそビジネス英会話から学ぶべき」と、私たちの常識とは真逆の理論を持つ。
 同社は先月、「まったく英語が話せない人」でも、たった900単語と150フレーズ、およそ3カ月で最低限のビジネス英会話をマスターできる、新たな学習プログラムをリリースした。
どうすれば、最短距離でビジネス英会話を習得できるのか。ビズメイツのプログラム開発を担当する伊藤日加氏に聞いた。

「ビジネス英会話=難しい」という誤解

伊藤 日本で20年以上英会話講師として働いていると、根拠のない「英語神話」をよく耳にします。
 たとえば、「TOEICで700点取れば英語は話せる」「ネイティブ講師から学ぶほうが語学は上達しやすい」と、挙げればキリがありませんが、そのうちの一つが「日常英会話より、ビジネス英会話のほうが難しい」というもの。
 ですが、これは大きな間違いです。ビジネス英会話は日常英会話より「簡単」なのです。
 なぜ、ビジネス英会話のほうが簡単だと言い切れるのか。
 ビジネスの最前線にいるみなさんならおわかりだと思いますが、そもそもビジネス上のコミュニケーションでは、「商談を取り付ける」「相手に自分のプランを納得してもらう」など、交渉に必要な情報交換が最優先
 会話の「正解」のない中で、繊細な心の機微を伝え合う日常会話と比べれば、ずいぶんシンプルですよね。これは、言語が英語に変わっても同じです。
 端的に事実を伝えようとすれば、自然と使用する語彙やフレーズも限られる。
 つまり、ある程度の表現パターンを覚えれば、ビジネス上の会話はできるようになるのです。
 これには、英語を話す人の約8割がノンネイティブだということも関係しています。ビジネスの世界では、わかりやすい表現がベスト。
 使いもしない、難しい表現を覚える必要はありません。
 それなのに、「日常英会話のほうが簡単だ」という神話を信じて、日常英会話で基礎固めをしようとする人が後を絶ちません。すると、ビジネス英会話にたどり着く前に挫折してしまう。
 商談で使える英語を身につけたいのに、映画館でのチケットの買い方を教えられていては、モチベーションが保てないのも当然です。
 ビジネス英会話を教える講師として、日本のこの「もったいない」状況を変えていきたいと思っています。

講師に求めるのは「ネイティブ」より「ビジネス経験」

 では、どうすれば効率よく、最短距離で「ビジネス英会話」を習得できるのか。
 ビジネス英会話でまず意識したいのは「ビジネスの結果につながるかどうか」というポイントです。
 そこでビズメイツでは、理想のビジネス英語を「Simple(簡潔)・Polite(丁寧)・Effective(効果的)」と定義しています。
 初めての商談での会話を想像してください。
 私が「Hi, My name is Hika. Nice to meet you」と言ったら、多くの日本人は「Hi, I’m 〇〇. Nice to meet you,too」と返すでしょう。
 これはまったく間違いではありません。「シンプル」で「丁寧」な表現だと言えるでしょう。ですが、ビジネスにとって「効果的」かというと、もう少し改善の余地がありそうです。
 そのあとに、「Where do you work now?(あなたはどこで働いているのですか)」や、「Where are you from?(どこの国から来たのですか)」と添えるだけで、相手からのあなたの印象はぐっと高まります。
 このように、グローバルビジネスで必要な伝え方や考え方は、ビジネス経験者でなければ教えられません。「ビジネスにつながる英会話」は、「ビジネス経験のある人」から教わるのがベストなのです。
 そのためビズメイツでは、講師を「ネイティブ」か「非ネイティブ」かという点では選別しません。「ビジネス経験があること」を採用の必須条件としています。
在籍講師は、元弁護士やMBAホルダー、グローバルカンパニーのマネージャーなどです。
「1週間に2,000人~3,000人ほどの応募がありますが、全員は採用しません。ペーパーテストや面接を通して数十人ほどを選抜。研修を経て再度試験を行い、最終的に採用するのはわずか1%程度です」と伊藤氏。
 この考え方こそが、普通の英会話スクールとは違う私たちの特徴です。
 ビズメイツのミッションは「ビジネスパーソンのグローバルでの活躍を支援する」こと。
 ですから、プログラムも「いかにビジネスで成果を上げられるか」という視点で組み立てているのです。
 講座のカリキュラムも、多忙なビジネスパーソンに最適な形を採用しています。
 たとえば、ビズメイツの最もベーシックな学習プランである「Bizmates Program」では、レッスンで習う文法の予習・復習教材を10分程度の短い動画にしています。これなら、通勤や在宅勤務のスキマ時間に簡単に学べます。
 これを踏まえて行うのが、25分のオンラインレッスンです。動画で学んだ文法や表現を、講師とのロールプレイングを通して自分のものにしていくのです。
 レッスンの予約枠も「仕事が忙しい」を言い訳にできないよう、早朝から深夜まで幅広く用意しています(笑)。
 レッスン開始5分前まで予約を受け付けているので、受講生からは「今、仕事が一段落したな」という瞬間に受けられると好評です。

「900単語と150フレーズ」がわかればOK

 とはいえ、みなさんが一番気になるのは「どれくらいでビジネス英語が話せるようになるのか」でしょう。
 ビズメイツでは、各々の英語力にあったレッスンが提供できるよう、1から5までのレベルを設けています。
 一つのレベルをマスターするのにかかる時間は、週3回ほどレッスンを受けて7〜10カ月程度。
 受講頻度や元の英語力にもよりますが、中学生程度の英語力があれば、1年ほどでビジネスの相手と意思疎通できるレベルになるようにプログラムを組んでいます。 
 そして今回リリースしたのが、「Bizmates Program Level 0(以下、Level 0)」です。
 そもそもLevel 1は、中学英語に自信がない人でもビジネス英会話の基礎がマスターできるように作ったものでした。
 ですが、もっと即効的に、たとえば今日英語のメールを打ち返さなくてはいけなくなった人、英語を使う部署に配属になって頭を抱えている人でも、すぐに英語が話せるようになる方法はないか。
 そう考え、行き着いたのが「フレーズ」を使った学習法です。
 たとえば、来週フランス出張が決まったとします。そのときに、フランス語の文法を一から勉強し始める人はいませんよね。 
 レストランやホテルで指差しでも使えそうな会話帳を買ったり、使う頻度の多そうなフレーズをネットで調べたりするのではないでしょうか。 
 これは非常に正しいやり方で、まずはよく使うフレーズを覚える。それが、英語を含む外国語に慣れるための一番の近道なのです。
「Level 0」では、学習内容をビジネス英会話でよく使う900単語と150フレーズに厳選。これを、動画での予復習と25分のオンラインレッスンで、3カ月ほどの期間で習得していきます。
 文法などは一切抜きに、覚えれば今日から使えるフレーズだけを組み込んでいるので、少しずつ「自分の英語が伝わるんだ」「英語を話すのって楽しいかも」というポジティブな経験が積まれていく。
 実はこれが上達のためのポイントで、特に初心者ほど、「間違えても伝わればOK」というマインドセットが必要なのです。
Level 0の教材。フレーズを入れ替えて反復練習することで、幅広い表現が身につけられる。
 私はカナダ生まれの日系2世ですが、両親は若い頃にカナダに移り住んだ日本人です。
 母はもう40年近くカナダに住んでいますが、使う英語はいまだにブロークン。
 父と開いた寿司屋でも、お客さん相手に「He don’t 〇〇……」と、中学1年で習う「三人称単数現在」も怪しいレベルの英語で流暢に話します(笑)。
 でも、それでも伝わるんですよね。一方、英字新聞を難なく読めるレベルの英語力を持つ父親は、シャイな性格もあってかいまだに英語が話せません。
 今のは極端な例ですが、英語でコミュニケーションをとる上で、マインドセットがいかに重要かがおわかりいただけたでしょう。
 今回の「Level 0」は、最短距離でビジネス英語を「話せる」ようになりたいビジネスパーソンのためのプログラムなのです。

英語学習で身につく「英語以外」のスキル

 ビズメイツをはじめて以来、英語で自信を付けて羽ばたいていくビジネスパーソンをたくさん見てきました。
 彼らを見ていて感じるのは、英語を学ぶことで「英語以外のスキル」も身につくということです。
 冒頭でもお話ししたとおり、ビジネス英会話では、「ビジネス上のゴール」に向けてコミュニケーションをとります。だからこそ、結論をベースに論理的、かつ効果的に相手に伝わる文章を組み立てる必要がある。
 すると、ビジネス英会話を練習していくうちに、ロジカルな思考力や、物事を端的に伝えるコミュニケーションスキルが身につくのです。
 これは、ビジネスパーソンとしてのランクアップにもつながります。
 ビジネスのグローバル化によって、英語を使う機会は今後さらに増えていきます。
 外国人労働者の数が増え続ければ、日本にいても同僚とのコミュニケーションに英語が必要になる場面も増えていくでしょう。
 さらに、英語ができるというだけで、転職など人生の選択肢の幅がひろがります。IT系の職種であれば、年収が100万円あがるというデータもあるほどです。
 そう考えると、英語を「学ばない」理由はどこにもありません。
 そして、何よりお伝えしたいのは、英語は「楽しい」ということ。
 英語が話せるだけで、コミュニケーションがとれる相手が格段に増えますし、得られる情報量も数倍、数十倍に広がります。
 英語は、私たちビジネスパーソンの視野を広げてくれるツールでもあるのです。
 ビジネス英会話を楽しいと感じ、その先にグローバルで活躍する日本人が一人でも増えるのであれば、英会話講師を生業とする者として、これほど嬉しいことはありません。