[東京 3日 ロイター] - 昭和大学病院の相良博典病院長はロイターのインタビューで、新型コロナウイルスの新規感染者数が増加を続ける中、入院が必要な中等症の患者が入院できないなど、東京都内の病床逼迫状況はかなり厳しいとの認識を示した。喫緊の課題は発症した患者を即時に受け入れられる「即時病床」だが、東京はゼロに近い状況だとの見方を示した。

相良院長は昭和大学病院の病床について「かなり厳しい状況になっている。重症患者が非常に多く入っているし、中等症以下で入院しなければならない患者が入院できないくらい」とし、都内の医療機関はどこも同じような状況になっていると話した。

これ以上コロナの患者が増えてくると、手術件数をある程度制御したり、他の病気の患者の受け入れを止めて病床を確保しなくてはいけないという段階に入りつつある、という。

東京都は、都内の病院にコロナに対応できる病床の確保を要請しているが、相良院長は、喫緊の課題は発症した患者を即時に受け入れられる「即時病床」をいかに増やしていくかだと指摘。現在、東京における即時病床数は「おそらく多分ゼロに近い状況」との見方を示した。

同院長は、高齢者の間でワクチン接種が進み、感染者が減っていることは効果として評価できるとしながら、「ワクチンを接種すれば大丈夫だというのは間違っている」と警告する。

昭和大学病院では、患者の3割程度はワクチンを接種しても感染しているという。ワクチン接種当初は抗体が高いので感染しにくいが、時間が経てばい抗体は下がっていく。同院長は「抗体の持続する期間は、それほど長くないのではないかという印象を持っている」と話した。このため、日本でも一部の国のように、もう1回ワクチン接種する必要が出てくる可能性もあるという。

オリンピック関係者の感染はそれほど多くないものの、開催期間中に人流が増えることが感染拡大につながると指摘、「結局オリンピックやったけど医療崩壊が起こってしまったとならないようにしなくてはいけない。感染者がこれ以上増えるようなことがあったら、やはりどういうことにしろ、失敗になったんじゃないかと言われる」と懸念を示した。

※インタビューは2日に行いました。