[パリ 2日 ロイター] - 仏製薬大手・サノフィは、 遺伝情報物質「メッセンジャーRNA(mRNA)」技術を手掛ける米トランスレート・バイオに買収提案を行った。事情に詳しい関係者2人が2日、ロイターに明らかにした。新型コロナウイルスのワクチン開発で出遅れる中、次世代技術とされるmRNAに期待を寄せる。

トランスレート・バイオの株価は時間外取引で70%超上昇し、50ドルを突破した。

関係者の1人によると、サノフィの取締役会は1日にこの買収案について協議した。別の関係者によると、トランスレート・バイオの取締役会は2日にサノフィの提案を協議する予定という。

サノフィの広報担当者は、コメントを差し控えている。トランスレート・バイオは、電話やメールでのロイターのコメントの要請に応じていない。

買収額などの条件は明らかになっていない。トランスレート・バイオの時価総額は、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が始まってから5倍に増加し、2日の終値時点では約22億ドルに達した。7月29日には場中の過去最高値となる36.98ドルを付けた。

米ファイザーと独ビオンテック、モデルナは、mRNA技術を活用したコロナワクチンを既に実用化しており、サノフィは新型コロナのワクチン開発競争で出遅れている。

トランスレート・バイオが専門とするmRNAアプローチは、人の細胞に特定の疾患に対する免疫反応を引き起こすたんぱく質を造るよう指示するもの。

サノフィとトランスレート・バイオは、2018年から共同研究を行っており、昨年、mRNAベースのコロナワクチンの開発に向けて協力を開始。第3・四半期に第1/2相の治験の中間結果が出る見通し。