[ワシントン 2日 ロイター] - 中国政府が今年5月、医療機器など数百種類の製品について、最大100%の現地調達率を義務付ける新たな指針をひそかに出していたことが、米国内の関係者の話で分かった。

元米政府当局者によると、70ページにわたる指針は「輸入品の政府調達に関する監査指針」と題し、中国財政省と工業情報化省が5月14日に出した。この元当局者は文書の写しを入手しており、ロイターに対し一部を読み上げた。

元当局者によると、中国は世界貿易機関(WTO)に加盟した際にこうした内部文書を出さないことに同意している。また、2020年1月に米中が結んだ第1段階の通商合意の趣旨にも反しているという。

文書は中国の病院や企業、その他の国有組織に送付され、315品目について25─100%の現地調達比率を設定している。対象品目には、X線機器や磁気共鳴画像装置(MRI)などの医療機器、地上配備型レーダー装置、光学機器、畜産関連品、海洋・地質学関連機器などが含まれているという。

中国政府は、この文書を公表していない。

中国財政省と工業情報化省は、コメントの要請に応じていない。

米国の通商専門家は、中国の現地調達規則について、バイデン政権が計画している「バイ・アメリカン」条項の強化とは異なると指摘。中国の指針は公表されていないほか、中国の国有企業には病院なども含まれるため、米国のルールよりはるかに多数の医療機器およびその他製品に影響が及ぶとした。

中国は昨年、約1240億ドル相当の製品を米国から輸入した。そのうち大部分は、教育、医療、輸送、農業、エネルギー分野で支配的な地位にある国有・政府関連企業が購入した。

在中国の米企業でつくる中国米国商会の広報担当者、ダグ・バリー氏は、文書について聞いたことはあるが、内容を見たことはないと述べた。加盟企業からは、受注競争で新たな問題に直面しているとの報告が上がっているという。

対中通商政策の見直しを行っている米通商代表部(USTR)のアダム・ホッジ報道官は、中国の文書に関してコメントを控えた。同文書が米中通商合意に違反するのか、また、対中政策の見直しを終える時期についても発言を避けた。