[ジャカルタ 2日 ロイター] - インドネシア中央銀行のペリー・ワルジヨ総裁は2日、ロイターのオンライン・インタビューで、最近の新型コロナウイルス感染拡大の影響で、インフレ圧力が生じるのは2022年終盤に後ずれするとの見通しを示し、インフレ圧力が生じるまで政策金利は上げられないとの認識を示した。

ワルジヨ総裁は、新型コロナの感染力の強い変異株の拡大を受け、超緩和的金融政策を修正するにはより長い期間を要すると説明。

「政策金利は長期にわたり低水準にとどまるだろう。デルタ株の拡大で景気回復スピードがやや鈍った。このため来年初めにインフレ圧力が生じることはないとみている。インフレ圧力が生じるのは来年末になる可能性がある」と述べた。

総裁がインフレ予測の変更を公表したのは初めて。

同国のインフレ率は2020年6月以降、中銀の目標レンジ(2-4%)を下回っている。7月のインフレ率は前年比1.52%だった。

総裁は、政策金利を長期にわたって据え置くことが可能であり、最初の利上げが米連邦準備理事会(FRB)の利上げ後になる可能性もあると発言。

「政策金利の変更が必要になるとすれば、早くても2022年末だ」とし、金融政策を変更する場合は、まず余剰流動性を段階的に削減すると述べた。

総裁は、現在の国内銀行の流動性を巡る状況が「超緩和的」だと発言。2022年の自身の流動性政策を「緩和的」と表現した。

緩和的な金融政策が続く中で、FRBが来年、量的緩和を縮小する可能性もある。

インドネシアの対外収支と通貨ルピアは、2013年のテーパータントラム(量的緩和縮小に伴う市場の混乱)の際に、圧力に見舞われたが、今回ははるかにうまく状況を乗り切れるはずだと総裁は発言。外貨準備が増えており、国内のノンデリバラブル・フォワード(NDF)市場を活用した為替安定化戦略も改善していると指摘した。

他の新興国がインドネシアに先立って利上げすることについては、懸念していないとし、インドネシアには、ブラジルやロシアのようなインフレの問題がないと述べた。

総裁は、金融政策に加えて、マクロプルーデンス政策や市場の深化に向けた措置など他の手段も活用し、2023年まで銀行の融資と経済活動を支援していくと表明した。

中小企業の借り入れを容易にする計画のほか、長期金利を下げるため、近く創設する中央清算機関を通じたレポ取引の拡大を奨励する計画もあるという。