ドイツ銀と仏ソシエテが最も脆弱な欧州大手銀-EBAストレステスト
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リーマンショック直後のバーゼル銀行監督委員会の雰囲気は、国際的に活動する巨大銀行への締め付けを通じて、当局のコントローラビリティを取り戻す議論が主流でした。日本からは自らの90年代の経験も踏まえ、銀行システムがバイタリティを失えば実体経済にも響くと主張したのですが、議論はどうしても規制強化に流れがちでした。
その後、銀行の状況変化とともに、規制強化の流れは今では随分と変わりました。ドイツ銀やソシエテに関する上記報道もそのような変化を感じます。リーマンショック後の10年間、当局が国際的に連携して対応を考えるべき主体は、IT Giant等、むしろ銀行システムの外側に現われていたという印象を強く受けます。
また、とりわけマネーセンターバンクの収益環境には、短期金融市場の環境が影響することは否めません。米銀と欧州銀のこの間の状況の違いをみると、欧州のマイナス金利に対する銀行界の不満も頷けるような気がしますし、米国はしたたかだと思います。かつて国際金融法人部長なんてタイトルで海外の金融機関相手に仕事をしていた当時、ドイツ銀行は言うに及ばずソシエテジェネラルも商業銀行部門をコアに独仏を代表する極めて健全で強い銀行だったと記憶していますけど、伝統的な金融仲介業務の収益力が環境の変化で陰るなか、米銀が圧倒的に強い投資銀行業務に参入して共に打ち負かされて、今では「最も脆弱な欧州大手銀」と言われるまでになってしまったといったことでしょうか・・・ 儲かっている資産は手放さず残高を積上げて稼ぐのが原則の商業銀行業務と、儲かっている資産を手放し回転させてこそ稼げる投資銀行業務の間にはかなりの文化の違いがありそうに感じます。風が吹けば桶屋が儲かる式の連想に過ぎませんけれど、ドイツ銀行、ソシエテジェネラルといった名門商業銀行が力を落とす過程を目にするにつけ、米ドルを握る米銀の強さを感じるこのごろです (・・;ウーン