[東京 30日 ロイター] - ANAホールディングスが30日発表した2021年4─6月期の連結決算によると、純損益は511億円の赤字だった。旅客需要は前年から持ち直しつつあるものの、新型コロナウイルスの感染拡大が収束せず、低迷が続いた。貨物の好調などが寄与し、赤字額は前年同期(1088億円の赤字)からは半減した。22年3月期の連結業績予想は従来のまま据え置いた。

営業損益は646億円の赤字(前年同期は1590億円の赤字)だった。コスト削減は想定に比べ約40億円上乗せしたが、旅客需要の低迷をカバーできなかった。

売上高は前年同期比63.6%増の1989億円。国際線の貨物収入は同2.6倍の660億円と四半期ベースで過去最高だった。自動車・半導体の関連部品などの輸送需要が旺盛だった。この好調は今年度末まで続くと同社ではみている。

福澤一郎専務執行役員は会見で、4─6月期は「3度目の緊急事態宣言や各国の渡航制限継続で旅客需要の回復ペースが鈍化している」と述べた。ただ、赤字は続いているが、「最悪期は脱しつつある」とも語った。

旅客数は、国内線が前年同期比2.5倍、国際線は1.4倍に増加した。高齢者へのワクチン接種が進んだことなどから、国内線の旅客数は「6月に底を打ち、7月以降は回復基調が続いている」と福澤氏は説明。7月12日からは4回目の緊急事態宣言が続いているが、8月以降の国内線予約状況は宣言発出後も「低下せず、むしろ若干ながら増加傾向」という。国際線はアジアからの乗り継ぎ需要などが貢献した。

実質フリーキャッシュフローは594億円の赤字(前年同期は1753億円の赤字)に改善。福澤氏は、7月単月は「計画からすると少し弱含みであることは否めない」としつつ、7─9月期では「ポジティブになる見積もりをしている」と述べた。4月末の決算会見で片野坂真哉社長は、7月ごろ単月で黒字化、7─9月期に黒字転換を図る方針を示していた。

福澤氏はまた、羽田─富山線について「見直しを検討している」と明らかにした。同路線は北陸新幹線開業時から旅客数が減少。通常は定期便で1日4往復だが、コロナ禍でさらに低迷し、現在1日1往復に減らしている。

今期の連結売上高は前期比89.4%増の1兆3800億円、営業損益は280億円の黒字(前期は4647億円の赤字)、純損益は35億円の黒字(前期は4046億円の赤字)を見込む。

純損益のアナリスト11人による事前の市場予想(IBESのコンセンサス予想)は776億円の赤字となっている。