[29日 ロイター] - 米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は29日、中国配車サービス最大手の滴滴出行(ディディ)が株式非公開化を検討していると報じた。中国政府の懸念を払しょくし、株価下落による投資家の損失を補てんする目的だという。

WSJは関係筋の話として、中国政府による締め付けが強まる中、非公開化を検討しており、サイバーセキュリティー規制当局からの支援も受けていると報じている。

一方、滴滴は声明を発表し、WSJの報道を否定。「中国の関連政府当局によるサイバーセキュリティーの審査に全面的に協力している」と説明した。

WSJの報道を受けて、同社株は29日の米市場が始まる前の取引で一時40%上昇した。ただ、通常取引で上げを削り、前日比11.2%高の9.86ドルで引けた。6月30日にニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場した際の価格からは29.6%下げている。

同社はニューヨーク市場への上場を通じて44億ドルを調達したが、その数日後、中国サイバースペース管理局(CAC)は滴滴に対する調査を開始。国家安全保障と公共の利益を理由に、新規ユーザーの登録を停止するよう求めた。また、スマートフォン向けアプリストア運営各社に対し、滴滴のアプリの配信を停止するよう命じた。

WSJによると、滴滴は米上場後のこれらの問題に対処するため、金融機関や規制当局、主要投資家と協議を行っている。主幹事に対し、上場廃止計画に対する投資家の見解と、投資家に受け入れられる価格帯を評価するよう依頼した。株式の公開買い付けを通じた非公開化が、検討されている予備的な選択肢の一つだという。