(ブルームバーグ): 米上院は28日、超党派議員グループとホワイトハウスがこの日合意したばかりの5500億ドル(約60兆3400億円)規模のインフラ包括案の審議入り動議を可決した。バイデン政権の経済政策実現に向けた大きな一歩となった。

採決結果は賛成67、反対32と、同案の上院通過は確実とは言えないまでも、十分その可能性があることが示唆された。議員らは修正案と最終案の採決が今週末ないし来週にかけて行われると予想している。上院は8月9日から長期休会に入る。

バイデン大統領は声明で、「この合意は米国の民主主義が正常に機能し、大きな事を実現・実行できるということを世界に示す」とし、「21世紀の世界経済において中国などとまさに競争を繰り広げる上で、米国の競争力確保に寄与する」と指摘した。

ホワイトハウスの発表資料によると、同案に盛り込まれた主なプロジェクトは以下の通り。

動議に賛成票を投じたのは民主党会派50人全員と、マコネル上院院内総務を含む共和党議員17人。しかしスコット、クルーズ両氏を含む一部の同党議員はインフラ案の規模を批判し、同案に反対する意向を表明した。

これら議員は声明で、「議会は財源も確保されていない巨額の支出を続けられない。きょう発表されたインフラ包括案は議会の常軌を逸した赤字支出の傾向を継続させるものだ」と指摘した。

包括案の財源には、先に成立した新型コロナウイルス禍経済対策からの一部資金流用や戦略石油備蓄(SPR)からの原油売却代金のほか、将来の経済成長の想定に基づく歳入増などが充てられる。

交通・輸送や水質改善プロジェクトの規模に不満を持っている民主党議員は修正を目指す見込み。共和党も一部の修正を図る可能性が高い。

インフラ案が数日中に上院を通過した場合、民主党は直ちに支出・税制の予算決議案の可決に注力したい考えだ。民主党はバイデン政権の残りの経済政策の大半を財政調整措置によって同党会派単独で通過させることを目指しており、予算決議案は同措置の前提となる。

民主党のシューマー上院院内総務はインフラ案と予算決議案の休会入り前の上院可決を目標にしていると語った。

一方、サンダース上院予算委員長は記者団に、予算決議案通過に必要な50票を確保していると述べた。

原題:Senate Moves Forward on $550 Billion Infrastructure Deal (1)(抜粋)

(今後の見通しなどを追加して更新します)

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