[28日 ロイター] - 米半導体大手・クアルコムが28日発表した第4・四半期の売上高見通しは、市場予想を上回った。米アップルのiPhoneを含む次世代通信規格「5G」対応機種の販売拡大のほか、携帯電話向け以外の半導体の伸びが寄与するという。同社は世界的な半導体不足につながっている供給のひっ迫が緩和されたとの認識を示した。

株価は、引け後の時間外取引で3.1%高。

アモン最高経営責任者(CEO)は投資家との電話会議で、複数の製造パートナーからチップを確保する取り組みが、供給拡大につながっているとし、第3・四半期に最初の大量出荷があり、今後数カ月に供給はさらに増えると説明。

「2021年末までに依然として供給量を大幅に改善できる見通しだ」と述べた。

また、アモンCEOは声明で、RF(高周波)チップなど携帯電話向け以外の半導体の売上高が今年度に100億ドルに達する見込みと述べた。前年度は60億ドルだった。

同社は21年度通期の調整後1株利益が、8.24ドルとほぼ倍増すると見込んでいる。

半導体事業を含むクアルコム・CDMA・テクノロジーズ(QCT)の第4・四半期の売上高見通し中央値は72億5000万ドルで、リフィニティブがまとめたアナリスト予想の68億3000万ドルを上回った。

第4・四半期の全体の売上高見通し中央値は88億ドル、調整後1株利益中央値は2.25ドルで、ともに市場予想の85億ドル、2.04ドルを上回った。

特許ライセンス事業の売上高見通し中央値は15億5000万ドル。しじょうよそうは15億6000万ドル。

<半導体不足>

アモンCEOは、製造パートナーを増やし自社のボトルネックは緩和されたものの、一部の顧客は機器の完成に必要なチップを他のサプライヤーから得られない状況だと指摘。

電話会見で「あらゆる事業において引き続き、需要が供給を上回っている」と述べた。

21年のiPhoneおよびアンドロイド端末を含む世界の5G対応機種販売台数予測については4億5000万─5億5000万台との従来見通しを維持したが、最終的には予想レンジ上限になるとした。

サミット・インサイツ・グループのアナリスト、キンガイ・チャン氏は「スマホセクターの一部の周辺チップに関して部品の供給ひっ迫が依然としてみられるものの、業界は4Gではなく5Gへの供給を優先するため、大きな問題を引き起こすほどではないだろう」と語った。

第3・四半期(6月27日まで)決算は、全体の調整後売上高が63%増の80億ドル、調整後1株利益が1.92ドルとなった。市場予想はそれぞれ75億8000万ドル、1.68ドルだった。

主力の携帯電話端末用チップは57%増の38億6000万ドル。RFチップは114%増の9億5700万ドル、インターネット・オブ・シングス(IoT)チップは83%増の14億ドルとなった。