[ワシントン 28日 ロイター] - 米商務省が28日公表した6月のモノの貿易収支(速報値)は、赤字額が前月比3.5%増の912億0700万ドルだった。国内の経済活動が好調な中、輸入が引き続き増加。貿易が第2・四半期も国内総生産(GDP)の重しとなったことを示唆した。

モノの輸入は1.5%増の2366億6600万ドル。食品や産業用資材、資本財が増えた。一方、自動車と消費財は減少。向こう数カ月間で消費支出がペースを落とすことも考えられるが、自動車や一部の家電の生産を抑制している世界的な半導体チップの不足を反映している可能性もある。

モノの輸出は0.3%増の1454億5900万ドル。食品の輸出が大幅に減ったほか、資本財も減少。一方、自動車と消費財は増えた。

輸入品の一部は卸売業者や小売業者の在庫補充に充てられた。貿易のGDPへの重しを在庫が和らげる可能性がある。同日発表された6月の卸売在庫(速報値)は前月比0.8%増加した。5月は1.3%増加していた。6月の小売在庫は0.3%増と、5月の0.8%減からプラスへ転じた。GDPの算出に用いられる、自動車を除く小売在庫は0.6%増だった。5月は0.9%増加していた。

ムーディーズ・アナリティクスのシニアエコノミスト、ライアン・スウィート氏は「モノの貿易収支の名目赤字が6月に膨らんだことで、純輸出が第2・四半期の国内総生産(GDP)の重しになることが改めて示された」と指摘。

オックスフォード・エコノミクスの米国エコノミスト、マヒール・ラシード氏は「消費が(モノから)サービスにシフトするほか、米国外でもワクチン接種が進み米国の輸出が伸びると予想されるため、全般的な貿易赤字は今後は縮小する」との見方を示した。