[27日 ロイター] - 米アップルが27日発表した第3・四半期決算(6月26日まで)は、売上高と利益が市場予想を上回った。次世代通信規格「5G」対応iPhoneの販売やサブスクリプション(定額課金)サービスへの加入が好調だった。

予想を上回るiPhone販売がけん引し、総売上高は36.4%増の814億3000万ドルと、リフィニティブがまとめたアナリスト予想の733億ドルを上回った。1株利益は1.30ドル。市場予想は1.01ドルだった。

<半導体不足の影響、iPhoneにも>

一方、アップルの幹部らは決算発表後の投資家説明会で、世界的な半導体不足について、今後はiPhoneの生産にも影響し始めるとし、売上高の伸びが鈍化すると予想した。アップルの株価は時間外取引で下落した。

幹部らによると、今四半期(7─9月期)の売上高は2桁台の伸びを示すが、4─6月期の36.4%には届かない見通し。幹部らはさらに、サービス事業の伸びも鈍化すると予想した。

幹部は、半導体不足の影響は4─6月期は想定ほど深刻なものではなかったが、7─9月期には悪化し、影響はiPhoneの生産にも及ぶとの見方を示した。

アップルの株価は時間外取引で1.7%安の144.24ドル。

クック最高経営責任者(CEO)は、不足に見舞われている半導体は旧式の技術で生産されたものだが、iPhoneの部品の一部であることから依然として必要と指摘。「需要がわれわれの想定を大幅に上回っており、不足が生じている」と認めた。年末商戦を含む10─12月期も不足状態が続くのかどうかについては、判断を示さなかった。

調査会社CFRAのアナリスト、アンジェロ・ジノ氏は、アップルは次世代モデル向けに優先的に半導体在庫を確保している可能性があると述べた上で「アップルはできる限り多くの半導体を集めたいと思っているが、現在の供給制約を踏まえると、アップルは今年、需要を満たすのに苦労するだろう」とした。

クックCEOはロイターとのインタビューで、半導体不足の4─6月期売上高への影響は従来予測レンジの「下限よりも低い」とした。

<中国、「最も好調な地域」>

地域別では中国の売上高が最も伸び、58%増の147億6000万ドルとなった。クックCEOはロイターに対し、iPhoneのほか、パソコン「Mac(マック)」や腕時計型ウェアラブル端末「アップルウオッチ」などの販売も伸長したと指摘。「中国は最も好調な地域だった」と述べた。

5G対応iPhoneへの買い替え需要などを背景に、iPhoneの売上高は前年同期比約50%増の395億7000万ドルと、アナリスト予想の340億ドルを上回った。

クックCEOは、上位機種の「iPhone12プロ」と「iPhone12プロマックス」の販売が好調だったことを受け、粗利益率が43.3%になったと指摘。市場予想の41.9%を上回った。

動画・音楽配信などのサブスクリプションサービスなどを含むサービス部門も業績をけん引。サービス部門の売上高は前年同期比で3割強増加し174億9000万ドルと過去最高になった。アナリスト予想は163億3000万ドルだった。

クックCEOによると、自社プラットフォームの有料登録会員は前四半期の6億6000万人から現時点で7億人に増加したという。

iPadの売上高は73億7000万ドル、Macの売上高は82億4000万ドル。市場予想はそれぞれ71億5000万ドル、80億7000万ドルだった。

*内容を追加しました。