[台北 26日 ロイター] - 半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は26日、ドイツに新工場を建設する可能性に関し、協議は初期段階でまだ確定的なことは言えないと表明した。

欧州連合(EU)欧州委員会は、米インテルやTSMCを含む世界の半導体大手と協議してきた。域内の半導体生産を増やし、世界的なサプライチェーン(供給網)の混乱による影響を受けにくくしたい考えだ。

TSMCの劉徳音(マーク・リュウ)会長は、年次株主総会でドイツでの半導体製造工場建設について質問され「われわれはドイツに関して真剣に検討しているが、極めて初期の段階にある」と応じ、顧客にメリットがあるかどうかを見極めようとしており、見通しについて語るのは「時期尚早だ」と続けた。

同社は今月、米国と日本での新たな工場建設を視野に入れていることを明らかにした。世界の最先端の半導体は大半が台湾で生産されており、生産能力が台湾に集中していることについて懸念がある。

劉氏は、米アリゾナ州の工場の拡張によってインフラや国家安全保障向けをはじめとする顧客の需要を満たすことになると説明した。

「顧客がわれわれの世界的な事業拡大の支えとなっている。非常に慎重に進めるつもりだ」と述べた。同社の海外展開のコストは、顧客が一部を負担することになるとした。

TSMCは今年、向こう3年間で1000億ドルを投資して生産能力を拡大する計画を発表した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響や新たな技術の出現で先端半導体の需要が世界的に高まっており、成長機会が複数年続くと見込む。