[26日 ロイター] - 米保険仲介大手・エーオンと同業のウィリス・タワーズ・ワトソンは26日、総額300億ドル規模の合併計画を撤回したと発表した。規制当局の反対により、計画に遅れと不透明感が生じたためとした。実現していれば、世界最大の保険仲介会社が誕生するはずだった。

収入の規模では、エーオンが米国で2位、ウィリス・タワーズ・ワトソンは3位の保険仲介会社。エーオンはウィリス・タワーズ・ワトソンを300億ドルで買収する計画だったが、米司法省が先月、競争が阻害される恐れがあるとして提訴していた。

合併が実現していれば、統合新会社の年間収入は203億ドルとなり、172億ドルのマーシュ&マクレナンを抜いて首位になるはずだった。

撤回を受け、エーオンはウィリス・タワーズ・ワトソンに違約金10億ドルを支払う。

欧州の規制当局は今月、両社による資産売却を条件に合併を承認していた。

エーオンのグレッグ・ケース最高経営責任者(CEO)は声明で「世界各国の規制当局の動きにもかかわらず、米司法省との協議は行き詰まった」と述べた。

ガーランド米司法長官は、企業の従業員は医療保険などの管理で両社のような仲介会社に頼っているため、合併撤回は「勝利」だという見方を示した。

26日の米国株式市場でエーオンは8.2%上昇、ウィリスは9%下落した。

司法省の勝利を米競争政策の新たな流れとみる向きもある。下院反トラスト小委員会のデービッド・シシリン委員長は「統合を阻止し、反トラスト法を積極的に執行することで、米国の独占の問題に対処するガーランド司法長官の姿勢を称賛する」とする声明を出した。

大型のM&A(合併・買収)案件のさなかにある企業の間では、影響が広がる可能性が懸念されている。