(ブルームバーグ): 米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は、新型コロナウイルスの新たな感染拡大の波との闘いで米国が「間違った方向」に進んでおり、特に重症化リスクが最も大きい人にはブースター(追加免疫)接種が必要になる可能性があるとの考えを示した。

ファウチ氏はデルタ変異株により全米で感染者が急増する中、ワクチン接種を受けた人のマスク着用に関する新たな勧告が現在検討されていると説明。米国では住民の半数がまだワクチン接種を完了しておらず、最悪のシナリオでは冬季にコロナ死者数が昨冬のピーク時と同水準の1日当たり4000人に達する恐れがあると指摘した。

ファウチ氏はCNNの番組「ステート・オブ・ザ・ユニオン」で「最悪のシナリオになるかどうかは分からないが、良い状況にはならない」と発言。「われわれは間違った方向に進んでいる」と語った。

同氏はブレークスルー感染(ワクチン接種後の感染)が増えており、がんや臓器移植で免疫が低下している人にブースター接種が必要になる公算があると発言。米疾病対策センター(CDC)が22日に開いた「予防接種の実施に関する諮問委員会(ACIP)」会合でも接種が議論され、今後もデータを検討していくと述べた。

ファウチ氏はまた、ロサンゼルスとセントルイスがワクチン接種完了者も含め、マスク着用を再び義務化したことを擁護した。

原題:Fauci Says U.S. Going in ‘Wrong Direction,’ May Need Booster (2)(抜粋)

(ブースターに関するコメントなどを追加して更新します)

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