2021/7/26

【若林恵】エシカル投資のことば

Quartzの特集〈Field Guides〉から1つをピックアップし、編集者の若林恵さんが解題する、Quartz Japanの週末のニュースレター連載「週刊だえん問答」から、25日に配信された「Can sustainable investing work?」について取り上げた最新回をお届けします。
若林恵(わかばやし・けい) 1971年生まれ。『WIRED』日本版編集長(2012〜17年)を務めたのち、2018年、黒鳥社設立。Quartz Japanでの連載「週刊だえん問答」の書籍化第2弾『はりぼて王国年代記』のお求めは全国書店のほか、Amazonでも。
──おつかれさまです。
はい。今日は疲れ果てています。
──昨日はずいぶん長いことライブ配信をされていましたね。一応、東京五輪の開会式を観ながらライブ配信を行ったと聞いていますが。
結局5時間近くやってしまいましたが、開会式自体が、そもそも思っていたより長かったですね。
──ひとりで観ていたら相当つらかったと思います。
そこですよね。紅白歌合戦などもそうでしょうけれど、ああいう国家的イベントは、ひとりで観てもつまらないものですよね。かつては、テレビを中心に置いた「お茶の間」というものを通して、その価値が伝播するような建て付けのものだったのだと思いますが、いま「お茶の間」っていうものが何をさしているのか曖昧ですよね。多くの人はソーシャルメディアのコメントを眺めながら観たのではないかと思いますが、もはやこうした「国民的イベント」は、観る側の設定としてどういう構えで観たらいいかわからないようなものになっていることは強く感じますね。ソーシャルメディアを含めたやりとりを基盤としたものになっていれば、もう少し違った接し方もあったのかもしれませんが。もう長年テレビというデバイスをSVODを観るためのモニターとしか使っていない者からすると、情報の受容という観点から、改めて扱い方に困るものだなとは感じました。個人的には、配信でもしながら観るというようなやり方以外に接し方がわからないといった感じでした。
──情報デバイスを一人ひとりが手にしている状況において、「お茶の間」前提のコンテンツは、たしかに、どうアクセスしていいのか、難しさを感じます。